2019年9月号掲載

この世界は誰が創造したのか シミュレーション仮説入門

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著者紹介

概要

私たちはどこから来て、どこへ行くのか ―― 。人間を巡る昔からの問いの答えの1つに、「シミュレーション仮説」がある。これは、人は何者かが作った仮想現実の世界に生きている、とするもの。一見、SF的で荒唐無稽だが、欧米の科学者らが真剣に論ずるこの仮説を、傍証を示し紹介。概要から最新理論までがわかる入門書だ。

要約

この世は仮想か現実か

 私たちは、誰かによって生かされているのではないか? 私たちは、何者かによって作られたコンピューター・シミュレーションの世界に生きているのではないか?

 この世が仮想現実かもしれないという説が、今、物理学者や哲学者から提示されている。欧米では「シミュレーション仮説」と呼ばれるものだ。

 一見、SF的で荒唐無稽だが、その内容を詳しく見ると、きちんとした論拠に基づいている。

身近になったVR(仮想現実)

 最近、VR技術を用いたサービスが増えている。ゲームセンターなどでVRゲームを目にすることも多くなった。専用のゴーグルを被ると視界全体に映像が映し出され、頭の動きに合わせて映像が変わっていく。まるでゲームの世界に入ったかのような没入感が味わえる。

 もちろん、現代のVR技術は未成熟だ。例えばバンジージャンプを疑似体験できるVR施設は、本物さながらの映像を見せることはできても、風の抵抗や自由落下の浮遊感までは再現できない。

 しかし将来、五感すべてに疑似体験をさせる技術が開発されれば、もはや現実とVRを感覚的に区別することは難しくなるだろう。

脳が作り出す仮想世界

 そもそも、私たちが感じていること、見聞きしていることはすべて、脳が作り出した幻である。

 例えば周囲を見ると、様々な「色」が目に飛び込んでくる。しかし、この世界に色というものは実在しない。私たちが色として認識しているのは、光の波長の違いが電気信号として脳に伝えられ、脳がそれを解釈した結果に過ぎないのだ。

 彼は、脳の活動を測定しながら、被験者にカラフルな絵を見せていった。色を見せると、色を認識する脳の部位である紡錘状回が活動を始める。

 次に、彼は被験者に、「今見えている色が薄くなって消えていき、すべてがモノクロに見える」という暗示をかけた。すると被験者は、色が消えて、すべてがモノクロに見えたと証言した。

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