2016年11月号掲載
ビジネス・フォー・パンクス ルールを破り熱狂を生むマーケティング
Original Title :Business for Punks
著者紹介
概要
2007年創業、英スコットランド発のクラフトビール会社「ブリュードッグ」。わずか300万円でスタートし、8年弱で売上70億円超の会社に。現在、50カ国以上に出荷する。いかにして、熱狂的なファンを世界中から獲得し急成長したのか。権威に逆らい、常識に挑む“パンクの精神”に基づくマーケティングを、創業者が熱く語る。
要約
戦う自由人のための起業論
2007年、スコットランド北東部の倉庫で、クラフトビール「ブリュードッグ」は産声をあげた。親友のマーティン・ディッキーと立ち上げた小さな醸造所だが、僕らは大きな使命を掲げていた。
「英国のビール産業に革命を起こし、この国のビール文化を変える」という使命だ。
1970年代、パンクロックは音楽の枠を超え、世界を変えた。そして文化現象になった。ブリュードッグの事業は、パンクの精神を基礎に成り立っている。パンクの本質は、物事を自分の流儀でやるために必要なスキルを身につけることだ。ブリュードッグは現状を拒み、情熱を持ち、いつも自分たちの信念に従って行動してきた ―― 。
始めるのはビジネスじゃない。革命戦争だ
会社は失敗する。会社は死ぬ。
だが、革命が死ぬことはない。
だったら会社ではなく、革命を始めればいい。
圧倒的な確率で、起業は失敗に終わる。
今はもう、ただ会社を始めるだけでは成功しない時代になっている。明確な目的と使命、存在理由が求められるのだ。僕らはただ醸造所を始めたのではない。世の人々をうまいビールに夢中にさせるという使命の旅に踏み出したのだ。
どんなビジネスを始めるにせよ、創業者は力強く、短い言葉にすべてを込めた使命を掲げ、会社がそこから外れないように手を尽くす責任がある。
例えば、アップルが始めたのはコンピューター・ビジネスではない。彼らの使命は、テクノロジーを通じて世界を変えることだ。
使命に求められるのは、唯一無二であることと、魅力的であることだ。自分のチームと潜在顧客たちに、その価値を認めさせるだけの使命が必要なのだ。使命こそ、他との違いを生む。