2017年1月号掲載
BCG 経営コンセプト 市場創造編
著者紹介
概要
世界的なコンサルティング会社、BCG(ボストン コンサルティング グループ)の戦略メソッドを紹介。グローバル化、デジタル化が進む中、企業がイノベーションを起こし、飛躍的に成長するための最新の手法を示す。成長を実現する組織体に変革するための手法については、同時刊行の『構造改革編』に詳しい。
要約
デジタル・テクノロジーの活用
今日、激変する企業環境の中で、経営者やマネジメント層は、次のようなテーマにまつわる問題に悩んでいる。
グローバル経営・デジタル化・イノベーション・リスクマネジメント・株主価値向上
こうした課題を突きつけられている時代に、経営者は何をなすべきなのか。
デジタル事業創造に必要な機能
既存企業の課題の1つ、デジタル化。このテクノロジーをうまく活用すれば、大きな飛躍の機会がもたらされる。ここでは、既存大企業がデジタル・テクノロジーを活用した新事業を開発していくためのアプローチについて解説しよう。
デジタル領域の新事業を開発するには、従来の事業とは異なるアプローチが求められる。まず、事業創造に必要な機能を示すと、次の通りである。
最初が「Think(戦略立案)」。次が「Design(デザイン)」で、戦略に則った形でコンセプトを企画し、サービスを設計する。企画やサービス仕様が整ってきたら、それを実際につくり(Make:開発)、サービスを開始して成長させていく(Run:運用・成長)。資金の調達・投資(Risk Share:投資)も必要だ。これらすべてをリンクさせて進めることが重要である。
インターネット発のプレーヤー、例えばYahooやDeNAであれば、これらの機能をすべて社内に抱えており、各機能が連携して進める。
ところが、既存大企業の場合、これらの機能のほとんどを自社で保有しておらず、外部リソースを利用している。しかも、全機能を一貫して提供するプレーヤーは国内外にほとんど存在せず、機能ごとに異なる専門企業と組むことになる。