2017年9月号掲載
ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技
著者紹介
概要
論理的思考力や財務・会計知識など、MBAで学ぶような“正統派のスキル”だけでは、人や組織は動かない! 生身の人間を説得し動かすには、泥臭い「ダークサイド・スキル」が不可欠。上司をうまく操り、使える部下を手なずけて利用し、自分の意思を通す。本書では、ミドルリーダーに必要な、こうした“裏技”を7つ紹介する。
要約
7つのダークサイド・スキル
従来、事業を行う上での“スキル”というと、論理的思考能力や財務・会計知識などのスキルがクローズアップされてきた。本書では、それらを「ブライトサイド・スキル」と呼ぶ。
実際に事業を行う上で、これらのスキルは重要だ。しかしながら、生身の人間を説得し組織を動かしたり、会社を方向転換させたりするには、人に影響を与え、時には意のままに操るような、泥臭いヒューマンスキルが必要だ。こうしたスキルを、本書では「ダークサイド・スキル」と呼ぶ。
変化の激しい時代は、ブライトサイド・スキルだけでは生き残れない。ミドルリーダーは、次に紹介する7つのダークサイド・スキルもあわせて使いこなすことで、変革を引っ張り、5年、10年先を勝ち抜いていく会社をつくることができる。
①思うように上司を操れ
社長といえども、社内のすべての事業を見ることはできない。直接見渡せていない事業についてトップが正しい判断を行うためには、ミドルが正しい情報を上げることが求められる。
つまりトップは、ミドルから出てくるパス(=情報)で判断しなければならず、そのパスの出し方いかんで、全社のかじ取りが変わってしまう可能性がある。裏返して言うと、ミドルは組織を自分の意のままに動かそうと思ったら、そういうパスを意図的に出せばいいということになる。
では、ミドルは自分のことだけ考えていればいいかというと、そんなことはない。社長や取締役などのトップが会社にいるのはあと5年、長くて10年。だが、ミドルはあと10年、20年働く。
現在の自分のポジション、自部門だけに目を奪われて、長期的な展望を持たず、業績が悪いまま問題を先送りしていると、やがてそれが致命傷になりかねない。そうなると、困るのは自分だ。
よって、冷静に戦局を見通し、適切なタイミングで「ダメ」と言えないといけない。しかし、それを皆が参加する業績報告会議のような場で言ってはいけない。「弱音なんか吐かずに頑張れ!」とお叱りの言葉を頂戴するだけだ。
こんな時は、社長にこっそり耳打ちする。「このままではマズイです。いくら手を尽くしてもこういう問題が間違いなく起きるから、早めに何とかした方がいいです」と、しれっと言う。
ミドルに求められるのは、表向きはファイティングポーズを維持しつつ、裏で先を見通したネゴシエーションを進めておくしたたかさだ。
②KYな奴を優先しろ
いつも同じような顔ぶれで仕事をしていると、同質化が進む。同質性にはいい面ももちろんある。「あうんの呼吸」で何も言わなくても伝わるから、コミュニケーションが楽だ。