2017年10月号掲載

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム

Original Title :COMPETING AGAINST LUCK

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著者紹介

概要

世界的な経営学者クリステンセンは、かつて『イノベーションへの解』で、顧客が片づけたい“用事・仕事(ジョブ)”が、商品を買うか買わないかを決めるカギだとした。本書は、このジョブ理論を詳述したもの。理論の概要をはじめ、ジョブの見つけ方や片づけ方など、イノベーションを生み出す方法を、各種事例を交えて示す。

要約

「片づけるべきジョブ」理論

 本書は、これからのイノベーションを予測し、生み出すための方法を示すものである。

 私たちの考察の基本は「片づけるべきジョブ」理論にある。この理論が目指すのは、顧客が進歩を求めて苦労している点は何かを理解し、彼らの抱えるジョブ(求める進歩)を片づける解決策と、それに付随する体験を構築することである。

 まずは、私たちが携わった事例を紹介しよう。

 以前、ファストフード・チェーンのプロジェクトに携わったことがある。「どうすればミルクシェイクがもっと売れるか」。その答えを求め、このチェーン店はすでに数カ月かけて調査していた。

 ミルクシェイクを買いそうな人に、彼らはこう質問した。「どんな点を改善すれば、ミルクシェイクをもっと買いたくなりますか? 値段を安く?量を多く? もっと固く凍らせる?」。

 そして、最も多かった要望に応えるイノベーションを行った。だが、売上に変化はなかった。

 そこで私たちは、まったく違う方向から課題に取り組もうと考えた。「来店客の生活に起きたどんなジョブ(用事、仕事)が、彼らを店に向かわせ、ミルクシェイクを“雇用”させたのか」と。

 この観点のもと、調査チームは客を観察した。わかったのは、午前9時前に1人で来た客に売れるミルクシェイクが驚くほど多かったことだ。そのほとんどがミルクシェイクだけを買い、店内では飲まず、車で走り去っていた。

 チームは客に、ミルクシェイクを買う目的(ジョブ)を尋ねた。明らかになったのは、早朝の客は皆、同じジョブを抱えていたということだ。仕事先まで退屈な運転をしないといけないから、気を紛らわせるものがほしい、というものだ。

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