2017年12月号掲載
カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか
Original Title :PLAY BIGGER:How Pirates, Dreamers, and Innovators Create and Dominate Markets
- 著者
- 出版社
- 発行日2017年9月30日
- 定価2,200円
- ページ数397ページ
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著者紹介
概要
グーグル、ウーバー、エアビーアンドビー…。新たなカテゴリーをつくり、発展させ、支配するこうした企業を、「カテゴリーキング」という。その名付け親であるシリコンバレー気鋭のコンサルタント集団が、各カテゴリーのトップに君臨し、有能な人材を集め、多くの利益を手にするための戦略について、事例を交え詳述する。
要約
王と王国にまつわる本当の話
つい最近まで、私たちは昔ながらの問題を解決できずにいた。タクシーの使い勝手が悪い、という問題だ。街角に立ったところで、いつタクシーが通りかかるのか、誰にもわからなかった。
でも、自分が望む時にタクシーに乗る方法があるとは思えなかったので、誰もその方法を考えようとしなかった。そんな中、ウーバーが生まれた。
2008年のある夜、パリでトラビス・カラニックとギャレット・キャンプは寒さに震えながら、タクシーをつかまえようと道端に立ち続けた。
新しい会社のアイデアを探していた彼らは、凍えながら、タクシーの問題は解決できないものかと話し合った。スマートフォンのボタンを押せばタクシーが迎えに来る。どうしてそれだけのことができないのだろう、と2人は不思議に思った。
サンフランシスコに戻った2人は、自分たちのアイデアを実現しようと試み、2010年の夏にサンフランシスコでウーバーのサービスを開始した。半年後には資金援助を申し出る投資家が群がり、ウーバーは他の都市にも進出を果たした。
ウーバーは、私たちにタクシー問題が存在するという事実を気づかせると同時に、その解決策を企業とサービスのデザインを通じて示したのだ。数年前までは何もなかったところに、巨大なカテゴリーを創出し、そこの王(キング)となったのである。
カテゴリーキングの定義
新たなカテゴリーをつくり、発展させ、支配した企業を、私たちは“カテゴリーキング”と名付けた。
あるアイデアを思いついたからといって、必ずしもその会社がカテゴリーキングになれるわけではない。優れた製品を世の中に送り出すだけでは、カテゴリーキングとは呼べない。優れた製品と優れた会社と優れたカテゴリーを同時にデザインして初めて、カテゴリーキングにふさわしい。
カテゴリーキングとは自ら率先してカテゴリーを定義し、発展させ、そしてそのカテゴリーを長期にわたって支配する企業だ。
アマゾン・ドット・コムやフェイスブック、グーグルといったカテゴリーキングは時間を超えて持続的に、しかも爆発的に多大な価値を生み出す。そして、そのカテゴリー全体の経済を牛耳る。
データによると、カテゴリーキングたちは、それぞれのカテゴリーで生じる利益と市場価値の7~8割を手中に収める。2000~2015年に米国で創業したスタートアップのデータを分析したところ、各市場カテゴリーの時価総額の76%をカテゴリーキングが占めていることがわかった。