2018年1月号掲載

運は数学にまかせなさい 確率・統計に学ぶ処世術

Original Title :STRUCK BY LIGHTNING:The Curious World of Probabilities

運は数学にまかせなさい 確率・統計に学ぶ処世術 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

私たちは時に予想外の出来事に遭遇する。コインを投げたら10回連続で表が出た、一晩に間違い電話が3回かかってきた…。こうした現象が起こる可能性を、肩の凝らないエピソードを交え論理的に解き明かす。その中で示される確率・統計の勘所は、賢い意思決定をし、不確実な世の中を上手に渡るためのヒントになるはずだ。

要約

ランダムな世をロジカルに生きよう

 大学院生だった時のこと。親戚を訪ねるために、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港行きのチケットを予約した。ところが、その便に乗るちょうど1週間前、この空港で大事故が起きた。

 最初、私はぞっとした。とても安全とは思えず、旅行はキャンセルしようと思った。だが、やがて自分を落ち着かせようとロジカルに考えた。

 ケネディ空港行きの飛行機は、毎週5000便ほどある。だから、仮に今度の事故がこの空港のせいだったとしても、私が乗る飛行機に影響が出る可能性は5000分の1だ。これぐらいの確率なら、恐らく大丈夫だろう。私は予定通りニューヨークヘ飛んだ。何一つ問題は起きなかった ―― 。

 私たちは皆、無作為(ランダム)性と不確実性に満ちた状況や選択の機会にたえず直面している。そして、ランダム性に心惹かれると同時に震え上がってきた。

 例えば、分別ある大人がくじや競馬、株に嬉々として大金を注ぎ込む。その一方で、テロ攻撃や飛行機の墜落など、何の規則性もなく襲いかかってくるものを嫌悪し、恐れる。

 人生のあまりに多くの局面が、思い通りにはならない出来事に支配されており、私たちは不確実性からは逃げようがない。

 そこで、残された選択肢は2つ。不確実性に翻弄されるか、ランダム性を理解するかだ。もし後者を選べば、私たちはより良い選択をし、不確実性を自分のために利用できるようになるだろう。

「偶然の一致」を深読みするなかれ

 例えば、私たちは偶然の一致に出くわして驚くことがよくある。仲間と食事をしに集まったら、全員同じ色の服を着ていた。孫の夢を見たら、翌日その孫から電話がかかってきた…。こんなことが起きると、私たちは神秘的なものを感じたりする。だが、果たしてそれは正しいのか?

 例えば、コインを放り上げて10回続けて表が出たとすれば、それはかなり意外な出来事だ。というのも、その可能性は1024分の1(各回に表が出る確率は2分の1なので、それを10回掛けあわせる)、つまり0.1%よりも低いからだ。

 しかし、日が暮れるまで繰り返しコインを放り続ければ、いつかは10回連続で表が出る。これは意外でも何でもない。従って、意外な出来事があったと誰かに言われたら、まずは考えてみた方がいい ―― 「その確率は何分の1?」と。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

ハンス・ロスリング 日経BP社

自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術

下園壮太 朝日新聞出版(朝日新書)

人生を変える80対20の法則

リチャード・コッチ 阪急コミュニケーションズ

幸福の意外な正体 なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか

ダニエル・ネトル きずな出版