2018年5月号掲載
プライベートバンカー 驚異の資産運用砲
- 著者
- 出版社
- 発行日2018年3月20日
- 定価924円
- ページ数186ページ
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著者紹介
概要
ゼロ金利状態が続く今日、日本のお金持ちは海外でお金を増やす。金融ルールが複雑で規制の多い日本ではまず得られない、巨額のリターンを手にできるからだ。では、その運用法とは? 富裕層の資産運用・管理に携わる日本有数の凄腕バンカーが、海外のプライベートバンクの実態、そして驚異の資産運用法を詳細に明かす。
要約
プライベートバンカーとは何か
私は、富裕層の資産運用、特に海外での運用の手伝いを主な仕事とする、独立系の「プライベートバンカー」である。日本とシンガポール、スイスなどを行き来しながら、富裕層と海外のプライベートバンクをつなぐ役割をしている。
具体的には、個人の富裕層をメインの顧客とし、その顧客に最適な資産の管理・保全・運用方法を提案し、顧客が独力では得られない資産防衛と運用のためのインフラを提供する、という仕事だ。
プライベートバンクは、次の4つに大別できる。
①伝統的プライベートバンク
プライベートバンカーの始まりは、16世紀後半、フランスで起きたカトリック対プロテスタントの宗教戦争に遡る。中世ではカトリックから迫害されたプロテスタントの貴族らが、戦争で金品を奪われる事態に備え、スイスの資産管理人たちに資産を預けた。これが起源だという。いわば、その末裔が伝統的プライベートバンカーである。
スイス・チューリッヒにある1750年創業のラーン・アンド・ボドマーや、1805年にジュネーブで創業したピクテなどはその代表格だ。
このような伝統的プライベートバンクは、伝統的に一任勘定運用(顧客がプライベートバンクにすべての運用を委託する方式)のポートフォリオ・マネジメントに徹しているところが多い。
②近代的プライベートバンク
UBSやクレディ・スイスなどが、このカテゴリーに該当する。もともとは伝統的プライベートバンクであったが、近年の金融システムのグローバル化に伴い、富裕層を対象に総合的な資産管理を行うサービスに変貌を遂げている。
逆に、富裕層ビジネスを行うべく、プライベートバンキング業務に参入してきた巨大銀行もある。アメリカのモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、イギリスのバークレイズ、シンガポールのバンク・オブ・シンガポールなどだ。
③海外にある、日本人にも対応するプライベートバンク
②の近代的プライベートバンクのうち、UBS、クレディ・スイス、バンク・オブ・シンガポールなどは日本人向けのデスクを設けている。
④日本国内に店舗を構えるプライベートバンク
国内の金融機関では、プライベートバンク部門という形で、三菱東京UFJ銀行、野村證券といった国内大手金融機関がプライベートバンキング業務を行う。
ただし、これらのプライベートバンクは、資産運用法やスキーム、提供できるサービスなど、海外のそれとは違って、どれもプライベートバンクと呼ぶには値しない。日本の国内規制があり、厳密には、包括的なワンストップサービスを行うことができないからだ。