2018年6月号掲載

中国新興企業の正体

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著者紹介

概要

近年、中国で誕生したニューエコノミー企業の勢いが止まらない。アリババ、テンセント、百度…。成長著しいこれらの企業は、アマゾンやグーグルなどに迫る勢いだ。日本企業に圧倒的な力の差を見せつける、その強さの秘密はどこにあるのか? 中国ビジネスに詳しい著者が、進化し続ける中国ニュービジネスの最前線に迫る。

要約

ニューエコノミーでは先進国の中国

 2017年は、イギリスから中国に香港が返還されてから20年目に当たる。その節目の年に私は、香港、深圳、広州の3都市を訪れた。現地で強く感じたのは、香港と深圳で受けた印象の違いだった。

 今、香港は不況にあえいでいる。香港が中国に返還された20年前、この都市は国際貿易、国際物流、国際金融という3つのセクターの中心地だった。土地面積、人口とも本土に比べれば極小であるものの、中国全体の約2割に相当するGDPを稼いでいたのだ。だが今、対中国本土比で見ると、香港のGDPは3%にまで縮小している。

 一方、この20年を振り返ってみると、香港の隣接地、深圳の発展には目を見張るものがある。

 30年前までは人口数万人の小さな漁村に過ぎなかった深圳だが、2016年にはGDP規模で2兆78億元(3023億ドル)にまで成長している。

深圳を根底から変えたもの

 深圳は今、活気にあふれている。その理由は、イノベーションにあると言っていい。

 かつての深圳は、世界の工場の縮図のようなところだった。改革開放政策によって外資が大量に流入し、外国の技術を活かして様々な製品が作られた。ところが、2008年のリーマンショックにより、中国経済は大きなダメージを被る。この時期、外国企業は次々と深圳から撤退していった。

 危機感を抱いた地元政府は「騰籠換鳥(トンロンフアンニアオ)」というスローガンを掲げ、政策転換を図った。騰籠換鳥は「籠を空けて鳥を換える」という意味だが、この4文字には「労働集約型産業から技術資本集約型産業に変換する」という決意が込められている。

 これに則って、国内外の人材、技術を優遇しつつ、それらを積極的に導入してイノベーションを促進する方針を打ち出した。これが奏功し、ここ10年で深圳は大きく変貌した。ハイテク産業を主流とした新しい産業が育ってきたのである。

中国各地で起こるイノベーション

 そして注目すべきは、産業の転換が深圳だけに特定される話ではない点だ。ここ数年間で、イノベーションの波は中国各地で起きている。スマホ決済、シェア自転車、配車アプリ、出前サイトなど、新しいビジネスモデルが急速に伸びてきた。

 これらのサービスを手掛けるベンチャーの中には、「ユニコーン企業」(創設10年以内、評価額10億ドルを超える非上場のテクノロジー企業)がいくつも存在する。

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