2018年9月号掲載
ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所
著者紹介
概要
今、「利益率20%を超えるIT鉄工所」として注目を集めるHILLTOP(ヒルトップ)株式会社を紹介。その経営手法は独創的だ。鉄工所なのに大量生産やルーティン作業をせず、職人も育てない。そして、ここ10年、右肩上がりで成長を続ける。働き方改革、生産性向上、人材育成…。経営問題の解決のヒントが詰まった同社について、副社長が語る。
要約
常識を覆す“夢工場”
「ここは何の会社? 鉄工所? ありえない!」
よくこう言われるが、当社は鉄工所である。
「中小企業こそ本社の外観にお金をかけるべきだ」という信念から、2007年に京都フェニックス・パーク(京都府宇治市)に新社屋を建てた。
「油まみれで汚い」という町工場のイメージを払拭。建坪600坪の5階建、東側は全面ガラス張り。外観はピンク色。徹底的に社員同士の対話と創造性を重視し、4階には皆が集まる社員食堂、最上階には筋トレルームや浴室もある。
町工場から夢工場へ
当社HILLTOP株式会社(以下、ヒルトップ)の前身は1961年に私の父が創業した山本精工所。自動車部品を製造する小さな町の鉄工所だった。
自動車メーカーの孫請だった油まみれの鉄工所は試行錯誤の結果、今や「多品種単品のアルミ加工メーカー」に。毎日同じ製品を大量生産していた町工場は「24時間無人加工の夢工場」に変身した。今、油まみれで働く社員は1人もいない。
当社のビジネスモデルは、従来のものづくりとは一線を画している。鉄工所でありながら、「量産ものは、やらない」「ルーティン作業は、やらない」「職人は、つくらない」のだ。
業界常識を一掃した生産システムによって、利益率は20~25%。一般的に、鉄工所の利益率は3~8%だから、これは驚異的な数字だろう。
この10年間、売上、社員数、取引社数ともに右肩上がりだ。取引先は国内だけでなく世界中で、ウォルト・ディズニー・カンパニーやNASA(米航空宇宙局)なども含まれている。
ヒルトップが変えたもの
多くの町工場が姿を消す中、当社が成長し続けているのは、凝り固まった業界の思い込みを捨て、従来の工場のあり方を大きく変えたからだ。
私たちはいったい何を変えたのか?