2019年5月号掲載
GREAT @ WORK 効率を超える力
Original Title :GREAT AT WORK
著者紹介
概要
優れた業績を上げる人は、一生懸命ではなく、賢く働く ―― 。『ビジョナリー・カンパニー④』で優れた企業を分析した著者が、今度は個人を分析。各種業界の5000人を対象とした調査研究で、「賢く働く7つの習慣」を見いだした。「優先すべきことを厳選し、選んだ分野に大きな努力を注ぐ」をはじめ、成果を生むための指針を示す。
要約
成果を生む決め手とは何か
社会学者やマネジメントの専門家は、仕事の業績は人が生まれながらに持つ才能と、生まれつきの強みによって決まると説明する。
しかし、才能重視の見方に異を唱える人もいる。成功を手にするには個々人の不断の努力の方が重要だ、と。人が偉業を成し遂げるのは、「最後までやり抜く力」(グリット)があるからだという。
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才能と努力、それに運も、成功する人としない人がいる理由を説明してくれるが、こうした議論に私は満足できなかった。そこで私は、労働時間当たりの生産性を最大にしようとする「賢く働く」という考えを研究した。
私は賢い働き方について今まで提唱された数々のアドバイスを調べたが、それらは一貫性のないものだった。いわく、優先順位を決めろ、権限を委譲せよ、明確なゴールを定めよ、部下との関係を改善せよ…。
本当はどうなのか? 優れた業績を上げるトップ・パフォーマーたちは何をやっているのか?
2011年、私は職場における個人の業績について大規模な調査を開始した。調査チームを立ち上げ、200以上の学術論文に散見される数多くの意見を検討し、数百人の管理職・経営幹部と交わした議論から得た知見をまとめた。そして新たに作った枠組みを、管理職と従業員合わせて5000人を対象とした調査研究で検証した。
最終的に私たちは、次の「賢く働く7つの習慣」を導き出した。
- ①優先すべきことをいくつかに厳選し、選んだ分野に大きな努力を注ぐ。
- ②新たな価値を生み出すことに重点を置く。
- ③反復練習を避け、技能を伸ばす練習を行う。
- ④自分の情熱を強い目的意識と一致させる。
- ⑤他者の支援を得るために心理戦術をうまく使う。
- ⑥会議では白熱した議論が必ず起こるようにする。
- ⑦部署横断プロジェクトに参加する場合は、どれに参加するかを注意深く選ぶ。
“賢く働く”ための習慣
では、この7つの習慣のうち、いくつかを紹介しよう。
「すること」を減らし、そこに徹底する
仕事について広く信じられている、間違った2つの常識がある。