2019年11月号掲載
最強の縄文型ビジネス イノベーションを生み出す4つの原則
著者紹介
概要
新しい価値観でビジネスを創造するイノベーターたちが増えている。彼らの躍進の秘密はどこにあるのか? それを解くカギは“縄文時代”にある。縄文時代の暮らしから導き出された経営モデル「縄文経営」をもとに、太古の人々の叡智を生かし、ブレークスルーをもたらすための原則を説いた、ユニークな書である。
要約
「弥生経営」と「縄文経営」
既成概念にとらわれず、新しい価値観でビジネスを生み出すイノベーターが台頭しつつある。彼らは、社会に大きなインパクトを与えている。
では、彼らが実践しているビジネスの秘密とは何か? その答えは、縄文時代にある ―― 。
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縄文時代と弥生時代の暮らしを、現代の企業経営に置き換えて対比すると、興味深い示唆が見えてくる。
- ・縄文時代:約1万5000年前から紀元前10世紀頃まで、1万年以上続いた。
縄文社会の食料調達は、狩猟・採集を基本に、多種多様な食物を組み合わせた。つまり、様々な市場から利益を生むビジネスモデルを持っていた。
ムラの周辺には自然のハラが広がり、縄文人は自然と共感・共鳴し、その声を聞いて行動した。
結果として、必要十分な食料を調達し、自然の恵みに感謝しながら暮らした。従って、全てのステークホルダーとの関係性は極めて協調的だ。
- ・弥生時代:紀元前10世紀頃から紀元後3世紀中頃まで、1000年超続いた。
弥生社会の食料調達は、イネづくりを通じてコメの生産を基本とした。ムラのリソースを稲作に集中投下することによって、効率的にコメを確保し、利益を蓄積してさらなる投資を志向した。
事業計画に基づいてイネづくりの管理を行い、収穫後は、投資に見合う利益を回収できたか否かを検証する。そして、翌年度に向けて成長戦略を描き、さらにムラを発展させようとする。
すると、イネづくりに必要な水場や耕作地の確保のために、周辺のムラは競合他社と位置づけられ、競争を勝ち抜くための戦いが繰り広げられる。
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