2019年12月号掲載

未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法

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著者紹介

概要

元防衛省情報分析官が、職務で培った未来予測のスキルを、ビジネスパーソン向けにアレンジし、紹介する。「問いの設定」に始まる未来予測の手順、そして「システム思考」「シナリオ・プランニング」等々の思考法・分析手法。披露されるノウハウを自分のものにできれば、自社や業界の未来を、ある程度予測することができる!

要約

未来予測のための情報分析ツール

 未来予測は難しい。だが、やり方によっては精度を上げることは可能である。

 ポイントは、比較的当たる領域のものを中心に予測し、それをベースに修正を加えていくことだ。

 例えば、人口統計などは数十年先まで、ほぼ正しく予測できる。国際情勢も、大きな潮流に限れば数年先まで予測可能だ。こうした、ある程度まで間違いのないデータに裏付けられた予測を幹に据え、その上で修正を加えていけばよい。

 そして、その作業をする上で大事なのは、歴史を知ることである。ローマの歴史家クルチュウス=ルーフスが「歴史は繰り返す」と教えたように、歴史は人間が動かすものである。ゆえに、そこには未来においても繰り返されるであろう普遍的なパターンを読み取ることができる。

 もっとも、それだけでは未来予測につきまとう不確実性を排除できない。この不確実性に対応するには、複数のシナリオを想定し、そのシナリオごとの対処法を考えておく必要がある ―― 。

インフォメーションとインテリジェンス

 「情報分析」の本質を理解するには、「インテリジェンス」と「インフォメーション」の違いを知る必要がある。日本語ではともに「情報」と訳されるが、その内実はかなりの違いがあるからだ。

 両者の違いを一言で言えば、インテリジェンスは、人の手間をかけて作られる「料理」であるのに対し、インフォメーションはその料理を作るための「生の素材」ということになる。

 こうした素材としての情報を分析、加工してできるプロダクト(製品)がインテリジェンスだ。

3つのインテリジェンスと情報分析

 政治、社会、経済、軍事などのトレンド(潮流)を把握するのに必要な「基礎インテリジェンス」、現在、起きている物事を分析するのに必要な「動態インテリジェンス」。さらには、「○○が起こるかもしれない」といった未来を予測する「見積りインテリジェンス」の3種類である。

 一方、情報分析は、大きく「現状分析」と「未来予測」に分けられる。未来予測は現状分析の上に築かれるということだ。

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