2021年3月号掲載

見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか

Original Title :HIDDEN HAND:EXPOSING HOW THE CHINESE COMMUNIST PARTY IS RESHAPING THE WORLD

見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

副題「中国共産党は世界をどう作り変えるか」。習近平政権下の中国共産党の世界観、同党による影響工作を体系的に説く。「一帯一路」構想を通じた中国中心の世界秩序の構築。その実現のために用いられている、味方と敵を心理的に操るテクニックなど、巧妙な手口を暴露。2020年刊の原著は世界的なベストセラーになっている。

要約

中国共産党の野望の全体図

 民主主義の自由は歴史に裏打ちされたものであり、いずれ世界のあらゆる場所で勝利するだろう ―― 。

 これまでそう信じられてきたが、ここ20~30年の世界の出来事が教えているのは、もはやこのような前提が通用しなくなったということだ。

 民主主義には強力な敵が存在する。それは、中国共産党に支配されている中国である。

中国共産党にとって冷戦は終わっていない

 欧米の専門家たちは中国について、「ライバル」なのか、それとも「敵」と呼ぶべきか、議論し続けてきた。一方、中国共産党は、この問題をすでに30年前に決着させている。

 当時の中国共産党は、ソ連崩壊後の世界で、周囲が敵に囲まれてしまったことを認識した。それ以来、今日まで敵対勢力とのイデオロギー闘争を続けている。中国共産党にとって、冷戦は一度も終わったことはない。

中国共産党の支配を強めるために

 世界の同盟関係をつくり変えることは、共産党にとって中国を世界一の国にするために不可欠だ。その計画を実行するにあたって、党は西洋諸国のエリートが中国の支配を歓迎し、中国の台頭が不可避であることを受け入れるよう仕向けてきた。

 いくつかの国では、中国系移民の富と政治力を動員して、批判者を黙らせている。また、中国はその莫大な経済力を背景に、非道なゴリ押しをしたり、外交面での圧力をかけたりしている。

 例えば2019年、米バスケットボールチーム、ヒューストン・ロケッツのジェネラルマネージャーが香港の民主化運動デモを支持するツイートをしたところ、北京はすぐに反発した。中国でのロケッツの試合の放映はすぐに中止され、スポンサーも撤退した。全米バスケットボール協会(NBA)は、中国という巨大市場を守るため、中国共産党に媚びるような謝罪文を発表している。

「一帯一路」構想の真の目的

 その目的は、中国の余剰資本への新たな投資先の提供や、貧しい国々への支援に留まらない。この構想は北京にとって、世界の地政学体制を再編する最大のツールなのだ。

 習近平は自身が唱える「人類共通の運命共同体」を構築するビジョンに不可欠なものとして、一帯一路構想に繰り返し言及している。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

渡辺 靖 中央公論新社(中公新書)

人間はなぜ戦争をやめられないのか 平和を誤解している日本人のために

日下公人 祥伝社

消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし

ケンジ・ステファン・スズキ 角川SSコミュニケーションズ (角川SSC新書)