2021年3月号掲載

Sleep, Sleep, Sleep

Original Title :Sömn, sömn, sömn

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著者紹介

概要

睡眠研究に携わる科学者たちは、口を揃えて言う。「絶対寝た方がいい」と。彼らがそう唱える理由を、睡眠学の最新の知見をもとに明らかにした。体内時計の形成、認知症予防、免疫システムに与える影響など、睡眠について今わかっている事実の数々が集約されている。質の良い眠りがいかに大切か、改めて気づかせてくれる1冊。

要約

眠らないとどうなる?

 「睡眠」。それは、私たちに健やかで活力に満ちた生活をプレゼントしてくれる最良の友である。スポーツや健康的な食事も大切だが、安定した睡眠、それに睡眠を通じた休息に注意を払うことは、健康な生活への重要な一歩だ。

脳の「ゴミ」は寝てきれいになる

 睡眠とはどんな現象なのか。それを理解するには、対極にある「覚醒」を理解する必要がある。

 朝、目を覚ます。覚醒時、体と脳は絶え間なく新しい情報や状況に直面する。目が覚めている間、人は常に情報収集を余儀なくされている。

 そして1日が終わり、睡眠に入る。なぜ、眠るのか? 働き続けてきた脳が休息をとるためだ。

 日中に吸収する情報量が多いために、1日が終わる頃には、脳はエネルギーを使い果たしてしまう。後に残るのは、余分な情報などゴミとして処理されねばならない廃棄物だ。そこで、睡眠中に脳内では清掃プロセスが遂行される。睡眠を十分にとらず、そのためにゴミが除去されないと、脳の老化が早まり、ダメージを受けやすくなる。

7~9時間眠る人は「有病率」が最も低い

 人の病気への罹患状況と、睡眠時間との関係を調査した研究がある。この調査を通して研究者たちは、成人では7~9時間の睡眠をとる場合に有病率が最も低いことを突き止めた。

 ただし、研究結果はあくまでも集団単位のものであり、個人のレベルではそれぞれ違いがあることに注意が必要だ。6時間またはそれ以下の睡眠で、健康上の問題を抱えることのない人もいる。それはおそらく遺伝子に理由がある。

 マスコミなどに「睡眠時間は7~9時間がベストだ」と刷り込まれ、不安を感じる人もいる。その結果、何の問題もないのに、自分は睡眠障害だと思い込んでしまう人まで現れる始末だ。

 強いていうなら、睡眠の質こそが脳機能と免疫システムの円滑な働きに重要であり、健康維持の決め手となる。そのため、眠りが浅く頻繁に目が覚める人は、質の面での不足を、睡眠時間の長さで補わなければならない。

自分に必要な「睡眠時間」をテストする

 従って、7~9時間寝ることの重要性を語るよりも、個々のニーズに目を向けるべきだ。

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