2021年8月号掲載
超速
Original Title :THE EXTRA HOUR
著者紹介
概要
今、多くの仕事で合理化・自動化が進む。にもかかわらず、生産性の伸びは停滞気味。要因の1つは、人々が無駄な会議やデジタル端末に時間や意識を奪われていることだ。これらに振り回されずに生産性を上げるには、どうすればいいか。その方法を、整理・集中などのスキルを柱に紹介する。有効かつ即使えるテクニックが満載だ。
要約
生産性を向上させる秘訣
産業革命が始まって以来、生産効率は、ほとんどの経済セクターで大幅に向上している。その結果、1人当たりの労働時間、とりわけブルーカラーの労働者の働く時間が大きく減少した。
1930年、経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、生産性が継続的に進歩することによって、21世紀にはすべての人の週当たりの労働時間が15時間にまで減少すると予測した。しかし、実際にはそうはならなかった。むしろ近年では、生産性は高まるどころか、ほぼ停滞している。
予測に反して長くなる「労働時間」
第三次産業革命により、IT部門と通信部門の急激な成長が見込まれた。しかし、生産性は初期に急成長した後、伸びが鈍化し、2010~16年の北米と西ヨーロッパの生産性は、年間わずか0.5%しか増加していない。
アメリカのフルタイム労働者の週当たりの平均労働時間は、2001年からほぼ横ばいで、47時間強。フランスでは、2003年には週42.6時間だった管理職の平均労働時間が、2011年には44.1時間と、かえって増加している。
今や、ゆったりとランチ休憩を取るなど、夢のまた夢。従業員は常時いっぱいいっぱいだ。ホワイトカラーは、新たなブルーカラーなのだ。
私たちの「意識」は奪われている
機械の導入は、ブルーカラーの労働時間を減らすことに成功した。しかし新しいテクノロジーは、同様の恩恵をホワイトカラーには与えていない。
いったいなぜか? 1つ考えられるのは、現代の仕事の取り組み方が、実は効率を下げているということだ。
私たちは、会議によって多くの時間を無駄にし、仕切りがないオフィスのせいで作業を際限なく中断させられ、デジタル技術への依存が大きすぎるあまり、デジタル端末に常に意識を奪われている。
ここで強調したいのが、「新しいテクノロジーは、人々を仕事に縛りつけるためではなく、仕事から解放するために使われるべきである」ということ。デジタル技術に振り回されるのではなく、デジタル技術に役に立ってもらうのだ。
生産的になるためには
デジタル技術に振り回されずに、オフィスでの生産性を高めるには、次のスキルが必要だ。
整理
作業を適切に行うために、上手に時間を割り当てる