2021年12月号掲載
ブッダが見つけた四つの真実
Original Title :WHAT MAKES YOU NOT A BUDDHIST
著者紹介
概要
世界三大宗教の1つで、今や西洋でも広く信仰される仏教。その本質をわかりやすく説いた書だ。仏教の基本概念は〈四法印〉と呼ばれ、「諸行無常」「一切皆苦」などの言葉で知られるが、初心者には理解しにくい。これらの概念を、難しい仏教用語を使わず語る。著者はブータン生まれ、世界を股にかけ、仏教の普及に努める人物。
要約
すべてのものは無常である
仏教の本質は、非常にシンプルである。にもかかわらず、それを説明するのは容易ではない。
ブッダとは仏教における「神」である、と多くの人が誤解している。ブッダはもともとゴータマ・シッダールタという名の普通の人間であった。天上の存在ではない。
そして仏教徒とは、次の4つの真実を受け入れた者のことをいう。
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- ・組み合わせによって成り立つすべてのものは無常である。
- ・すべての感情は苦しみである。
- ・すべてのものは本質的には存在しない。
- ・涅槃とは概念を超越したものである。
これら4つの言葉はブッダ自身によって語られたものであり、「四法印」として知られている。これらの四法印を受け入れる人は皆、ブッダと同じ道をたどっていると考えることができる。
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ブッダが見つけたもの
ゴータマ・シッダールタは菩提樹の下に広げたクシャの葉の上に座り、人間の本質を探った。長い黙想の後、彼はある結論に達した。
それは、私たちの肉体や骨を含むすべての形あるもの、そして私たちのすべての感情や知覚は、組み合わせによって成り立っているということだった。つまり、それらは2つ以上のものが一体となることで出来上がっているのである。
2つ以上の構成要素が一体となった時に、新しい現象は現れる。釘と木はテーブルになり、水と葉はお茶になり、恐れと信仰心、そして救世主は神になる。
この最終的な産物は、それを構成する部分から独立しては存在できない。それと同時に、部分部分は変化をとげている。部分と部分が出会うことでそれらの性質は変化し、それらが一体になることでまた別のものへと変容するのである。
彼は、このことが人間の経験のみならず、すべての事柄や世界全体、そして宇宙にも当てはまることに気づいた。なぜなら、あらゆるものが相互に依存しており、変化をとげるからだ。それだけで独立して、永遠に、純粋な状態で存在する要素は、森羅万象において1つもない。
こうして、シッダールタは「無常」というものが私たちの通常考えるような死ではなく、変化を意味することを発見した。