2022年9月号掲載
行動経済学の使い方
- 著者
- 出版社
- 発行日2019年9月20日
- 定価902円
- ページ数224ページ
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著者紹介
概要
人の意思決定は、合理的であるとは限らない。例えば、ダイエットを計画しても、今日の食欲を優先し、先延ばししてしまう…。そんな人間の特性を研究するのが行動経済学である。本書は、人間の意思決定のクセをわかりやすく解説。そして、行動経済学的な特性を用いて、より良い意思決定、行動を促す「ナッジ」の作り方を示す。
要約
プロスペクト理論
従来の伝統的経済学では、人間は計算能力が高く、情報を利用して、自分の利益を最大にするような合理的な計画を立て、行動すると考えられた。
しかし、1980年代から発展してきた行動経済学によって、人間はそれほど合理的ではないことが明らかになった ―― 。
リスクのもとでの意思決定
伝統的経済学では、リスクのもとで意思決定をする場合、私たちはそれぞれの選択肢の発生確率と、その際の満足度で測った利得を掛け合わせた「数学的期待値(期待効用)」に基づいて決めると考えられてきた。
だが現実には、私たちはすべてのことにそんな計算をしているわけではない。行動経済学者によって、リスクのもとでの意思決定は、伝統的経済学の考え方と異なることが明らかにされた。「確実性効果」と「損失回避」という2つの特徴である。
それらをまとめて「プロスペクト理論」と呼ぶ。
確実性効果
例えばあなたは、次の2つのくじから1つを選ぶ時、どちらのくじを好むだろうか。
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- A:確率80%で4万円が得られる
- B:100%確実に3万円が得られる
多くの実験から、Bのくじを好む人が多いことが知られている。では、次の2つのくじでは、どちらのくじを好むだろうか。
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- C:確率20%で4万円が得られる
- D:確率25%で3万円が得られる
この場合は、Cのくじを選ぶ人が多い。
上記のBとCを選ぶ人は、伝統的経済学における合理性の仮定と矛盾している。
x万円のくじに当たった時に感じる満足度を「満足度(x万円)」と書くとした時、最初の選択でBのくじを選ぶ人は、
満足度(3万円)>0.8×満足度(4万円)