2023年1月号掲載
BCGが読む経営の論点2023
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- 出版社
- 発行日2022年11月7日
- 定価1,980円
- ページ数262ページ
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概要
新型コロナの蔓延、ロシアのウクライナ侵攻など、近年の世界は不確実性に満ちている。そうした中、経営者はいかに先を読み、どんな手を打つべきか。ボストン コンサルティング グループが、2023年のビジネスの成否を分かつ10の重要論点を紹介する。物流のデジタル化、仮想空間が生む巨大市場…。競争に勝つ上で有用な1冊だ。
要約
重要な2023年の変化のトレンド
世界は不確実性に満ちている。2020年から新型コロナウイルス感染症が全世界に蔓延し、2022年2月にはロシア軍がウクライナに侵攻した。
こうした不確実性に対応する上で有効なのは、シナリオプランニングの手法である。
シナリオプランニングのプロセスを通じて、起こる確率は高くないとしても、その可能性を織り込んだシナリオをつくり、それを基に議論する。こうしたプロセスを経ることで、より豊かな戦略的創造性を生み出したり、リスクに対する認識を高めたりすることが可能になる。
将来のシナリオを設定する上で大事なことは、世の中の大きな流れ、トレンドをつかむことだ。
BCGが重要と考える領域における変化は、例えば、次のようなものだ。
物流の変化
近年、企業経営における物流の重要性を指摘する声が高まっている。この背景には、物流の安定を阻むリスク要因の拡大、物流に対する要求の高度化など、物流を取り巻く構造の変化がある。
その対応の緊急性にもかかわらず、物流の変革は遅れている。そうした中、カギを握るのが、生産・調達・販売と一体として物流を捉え、デジタル技術を活用しデータドリブンで全体をマネジメントする「デジタルサプライチェーン」である。
日本で変革が遅れる理由
物流の変革が遅れている要因の1つは、現場能力の高さによって、高品質なオペレーションが一定のレベルで実現できているため、変革に向けた危機意識が十分に醸成されていないことだ。
海外では遅延・破損・作業ミス・盗難などのトラブルが多かったため、早くから業務の標準化とデジタル技術を活用したマネジメントやオペレーションの高度化が志向されてきた。
他方、日本では、勤勉な現場層が努力を積み上げ、高い物流品質を実現しているため、業務の標準化やデジタル技術の活用が十分に浸透していない。このため一部での取り組みにとどまっている。