2023年2月号掲載
1位思考 ――後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣
著者紹介
概要
バッテリーや充電器などでオンラインシェア1位を獲得。創業9年目で売上300億円。後発ながら厳しい競争を勝ち続けるアンカー・ジャパン。その飛躍を可能にした習慣と思考法を、同社CEOが語った。「負けないゲーム」をする、お客様の声を聞く、1%にこだわる…。披露される内容はシンプルで、実践すれば誰でも1位になれる!
要約
後発でも1位になれる習慣
私は、Anker(アンカー)グループの日本法人、アンカー・ジャパン株式会社のCEOをしている。
アンカー・ジャパンは2013年に創業。初年度の売上は約9億円だったが、8年後の2021年に300億円を達成。モバイルバッテリーや充電器などで国内オンラインシェア1位を獲得している。
バッテリーや充電器は、いわゆるコモディティ製品である。また、アンカー・ジャパンが参入しているのは、「3LOW」(Low Passion=消極的な購買姿勢、Low Recurring Rate=低いリピート率、Low Average Selling Price=低い平均販売価格)といわれる極めて難しい市場である。
そんな市場で、なぜ後発のアンカー・ジャパンは勝ち続けているのか。その秘密を読み解くキーワードが「1位思考」である。後発でも逆転を可能にする思考法だ。そして、次のような習慣を身につければ、誰でも1位になれる。例えば ――
全体最適の習慣
会社の業績は、個人の力の集積だ。全社員が同じ目標に向かって進んだ時、業績は最大になり、個人も大きく成長する。従って、仕事で私が一番大切にしているのは、「全体最適の習慣」だ。
負けないゲーム
企業が将来にわたって事業を継続するには、「負けないゲーム」をすべきである。
新規事業を次々に立ち上げ、「ホームランか三振か」の勝負を続けるのはリスクが大きい。一方、ヒットだけコツコツ打っても成長は遅い。理想はヒットを重ねて利益を上げつつ、ホームランを狙うこと。アンカーグループでいえば、充電器などのコア事業で利益を確保しつつ、新たにスマートプロジェクターなどに挑戦するイメージだ。
実際、スマートプロジェクターによって会社の成長が加速した。もしこの事業で失敗していたとしても、コア事業があるため経営が傾くことはなかっただろう。
「負けないゲーム」と聞くと保守的な印象を受けるかもしれないが、攻撃は最大の防御であり、攻撃手段は多い方がいい。
激戦市場でも“後発で”1位になるには?
アンカーはノートPCの交換用バッテリーからスタートした。当時のバッテリーは1万円程度の純正品と、1000円程度で品質は不安定、保証もない製品とに2極化していた。そこで、3000円程度で保証付きの良品を出せば売れると考えたのだ。