2023年7月号掲載

QUITTING やめる力 最良の人生戦略

Original Title :QUITTING:A Life Strategy (2023年刊)

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著者紹介

概要

仕事、勉強、結婚…。辛くても続けた方がよいか、やめた方がよいか。多くの場合、何かを「やめること」は否定的に捉えられる。努力が足りないのだ、と。だが、あきらめることで、人生が劇的によくなる! その理由や、「やめる力」のつけ方を、科学的知見やスポーツ選手の事例などを引きつつ、米国人ジャーナリストが説く。

要約

「やめられない」はただの思い込み

 現代の社会では、何かを「やめること」は、屈服や降伏を意味すると見なされている。

 でも、なぜこのような考えが生まれたのか?「やめるのはよくない」と言ったのは誰なのか?

なぜ、やめてはいけないの?

 私たちは、何をするにしても、やめてはいけないと言われる。米国の民間伝承からギリシア神話、学校で教わる物語しかり。「すぐにあきらめる奴(クイッター)」は侮辱語であり、嘲笑を伴う。

 やめるという行為は、人間の行動の中でも特別にネガティブな位置づけを与えられている。これは考えれば考えるほど、奇妙だ。なぜなら、今も昔も、「やめること」は、私たちにとって有効な戦略であることが証明されているからだ。

 今していることを手放し、方向転換して新しい行動を受け入れると、人生が劇的によくなることは多い。立ち止まって周りを見渡さなければ、同じ場所でつまずき続けることになる。それなのに私たちは、その道が目的地に通じていなくても、ただ同じ方向に進もうとする。限界に達して、ようやくやめるべきだと気づくことがある。

 でも、なぜ私たちは、もっと早い段階でさっさとやめてしまわないのだろう?

我慢する女たち

 人間の脳は、あらゆる生き物の脳と同じく、命が危ぶまれた時に何をすべきかを知っている。

 それは、やめて、他の何かをすることだ。

 エミリー・ナゴスキーとアメリア・ナゴスキーは、著書『バーンアウト』の中でこう述べている。

 「人間も、鳥やリスと同じように、やめどきを知ることができる ―― それは合理的思考の外にある静かな直感だ。私たちは、(中略)先に進む時が来たという心の声を聞く。残念なことに、その声を聞き流してしまうことが多い。人間、特に女性はこの声を限界まで無視してしまいがちだ」

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