2023年10月号掲載
アウトプット思考 ――1の情報から10の答えを導き出すプロの技術
著者紹介
概要
「アウトプット思考」とは、情報収集(インプット)に時間をかけず、最大の成果を上げる、というもの。その方法を、ベストセラー『仮説思考』の内田和成氏が説く。「“仮想の”20の引き出し」「デジタルとアナログの使い分け」をはじめ、ユニークな知的生産術を紹介。情報が溢れる今日、他者と差別化を図る上で、示唆に富む1冊だ。
要約
「アウトプット」から始める情報術
「良質なアウトプットのためには、良質なインプットが不可欠」。こう考えて、様々なメディアから得た情報を、自分なりの工夫で集めたり、整理したりしている人は多いだろう。
だが、情報収集・整理によって目立った業績を上げたという人を、私は知らない。なぜか?
理由の1つは、「情報を持っていること」が差別化の要因になりにくくなったことだ。例えば以前なら、豊富な商品情報を持つ小売店の店員は価値を持っていた。だが今や、商品情報はネットでいくらでも手に入る。
そのため、情報そのものでの差別化が難しくなった。つまり、「インプットだけで差をつけることは難しい」時代になっているのだ。
発想を「アウトプット → インプット」に
では、インプットの段階で差別化できないのなら、どこで勝負すべきか?
私の答えは、「アウトプットから始めよ」。つまり、従来の常識だった「インプット → アウトプット」というプロセスを、「アウトプット → インプット」に逆転させるということだ。
インプットをいくら増やしても時代の先を読むのは難しく、すべての情報を集めることは不可能。ならば、アウトプットをまず意識することで、情報収集にかける手間を最低限にして、なおかつ最小限の情報から最大限の成果を引き出すのだ。
まずは自分の「スタイル」を明確にする
では、「アウトプットから始めるインプット」とは、どのようなものか?
ここで必要となるのは、情報に接する前に、自分の「スタイル」を明確にするということだ。
つまり「何を目的として」「どんな立場(ポジション)で」「どんな役割を期待されて」情報を生かそうとしているのかを明確にした上で、情報に接する。それにより情報収集のスピードは速くなり、差別化もしやすくなる。
「3つの目的」ごとに、手に入れるべき情報は異なる
まず、意識すべきは「情報活用の目的」である。情報活用、つまりどんなアウトプットが必要なのかを明確にした上で、情報に接するということだ。