2023年11月号掲載

東大教授が教える 知的に考える練習

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著者紹介

概要

大量の情報が飛び交う現代において、必要な「頭の使い方」を紹介する。著者は、まず頭の中に「考えるための土台」をつくり、考える「クセ」をつけることが大事だと言う。そのためには情報の本質をつかみ、共通点、相違点を探す。こうしたクセさえつけば、情報に流されることなく、自分ならではの豊かな発想を生み出せる!

要約

情報洪水時代で変わる「頭の使い方」

 現代は、ネットの爆発的な普及によって、情報が洪水のようにあふれている時代だ。今や誰もが大量の情報を簡単に手に入れられるようになった。

情報洪水時代、新しい頭の使い方が求められる

 こうしたネットの爆発的な普及は、私たちの「頭の使い方」にも大きな変化をもたらした。

 1つ目は、単純な知識はネットで調べればすぐにわかるので、覚えるために頭を使う必要がなくなったことである。これはプラスの側面といえる。

 もう1つはマイナスの側面で、あまりにも情報が簡単に手に入るために、自分で考えたり、工夫したりするクセがつきにくくなったことである。自分の頭で考えることなく、ただ流れている情報を右から左に適当に組み合わせただけで、あたかも自分の意見のようになっている状況が多いのだ。そこには「考える」という工程が省かれている。

 だが、人工知能(AI)の急速な進歩が叫ばれ、変化が激しい時代に、それで本当によいのか?

なぜ「考える」ことの価値が高まってきたのか

 過去にも、明治維新や終戦直後のように、社会や価値観が大きく変化した時代があった。世の中がまるで変わってしまったので、過去の延長線上での発想がまったく通用しなくなったのだ。そうした時代に成功した人は、頭の使い方を切り替えることで、新しいチャンスを見いだした人だった。

 今は、そんな時代とよく似ている。

 そうなると、大切なことは、時代の変化にいかに対応していくか、そして変化に対応できる能力をいかに身につけていくかだろう。その際に重要なのが、「考える」という作業なのである。

変化の時代に必要とされる頭の使い方

 このような時代に必要なのは、ただ情報を集めることではなく、自分なりの発想や考え方を組み立て、情報を処理することである。これからの時代には、人と違うことが考えられて、人と違うことができることに、本質的な価値が生じる。

 情報収集が劇的に楽になった分、「考える」ウエイトはますます重くなっている。みんなと同じ情報を材料にしながら、いかに新しく、人とは違う発想で、面白いことを考えつくか、そういう点での「考える」力がより求められているのだ。

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