2025年3月号掲載
超長寿化時代の市場地図 ――多様化するシニアが変えるビジネスの常識
Original Title :Stage(Not Age):How to Understand and Serve People Over 60-the Fastest Growing,Most Dynamic Market in the World (2022年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年12月25日
- 定価2,420円
- ページ数273ページ
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著者紹介
概要
超長寿化時代を迎えた今日。高齢者人口の増加に伴い、シニア世代は多様化している。そんな中、企業はいかにして事業を展開すればいいのか? 本書は、急拡大するシニア市場の実像や、高齢者のニーズを捉えるための視点を、事例を交え提供するもの。長寿ビジネスにおいて成功を収めるためのヒントが満載だ。
要約
人口動態の新たな現実
今日の平均寿命は約80歳である。また、公衆衛生と医療の進歩のおかげで、2000年以降に生まれた人は100年生きると予測されている。
この「超長寿化」によって、人口構成も大きく変化している。米国はもちろん、世界のほぼ全域(アフリカを除く)で、高齢者人口が若年人口を上回るようになる。
人口構成が激変する中、私たちのマインドセットにも大きな変化が必要だ。「老い」や「加齢」に対する固定観念や思い込み、既存の高齢者ビジネスのやり方は通用しなくなる。
65歳以上の人口が増えるに伴って、人生モデルのあり方も多様化し、同じ年齢層でもニーズや欲求は様々に異なっている。従って、これからは「年齢(エイジ)」ではなく、個々の人生の「ステージ」を最も重要な属性として捉えるべきだ。
ステージはそれぞれ
以下の3人を想像してみてほしい。
- ・エドワルドは会社を経営する傍ら、大学で1年間学び直した。また、毎冬、家族とスキーを楽しみ、地域コミュニティにも貢献している。
- ・マリアは心疾患などの持病を抱え、この間は脳卒中で倒れた。介護を必要とし、今は子どもと医療プランや遺産について話し合っている。
- ・キムは先日、アパレル企業を立ち上げた。出張で全国の代理店を飛び回っている。
この3人は同い年の75歳だ。だが全員が老け込んだ「老人」ではない。「シニア」と呼んでも間違いではないかもしれないが、その言葉では三者三様の活動やニーズを全く表現できない。
そこで本書では、人生のステージを18に分類し、整理した(下表)。
この枠組みでは、年齢とステージがきれいに対応するわけではないことに留意してほしい。1人が同時に複数のステージをまたぐことも多々ある。ステージ間の移動も一方向に進むわけではない。例えば、前述のマリアは「終活」のステージから「人生の幕引き」のステージに近づいているところだろう。