2025年4月号掲載
サプリメントの不都合な真実
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年1月10日
- 定価968円
- ページ数217ページ
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著者紹介
概要
健康に良いとされる、サプリメントや健康食品。これらを使う人は多いかもしれない。だが、そのサプリメントの危険性、あるいは「特定保健用食品(トクホ)」と書かれた健康食品はどんなものか、わかっている人は少ないのでは? 本書では、食品安全の第一人者が、欧米の最新事情も交え、知っておきたい健康食品の真実を説く。
要約
それでも飲みますか?
近年、健康食品が話題になることが増えている。新聞や雑誌には色々なサプリメントの広告が載り、テレビをつければCMが1日中流れている。
そんな中、2024年3月末、小林製薬が製造・販売した紅麹を含むサプリメントによる大規模な健康被害が明らかになった。今回の事件には、日本の食品安全をめぐる問題が凝縮されている ―― 。
海外では紅麹サプリメントに注意喚起がされていた
私は2016年に出版した著書において、フランスで紅麹を含む食品サプリメントに注意喚起がなされていることを紹介した。
以前からフランスでは紅麹サプリメントについて、医薬品のロバスタチンの有害事象と類似の影響が報告されていた。そのため、この薬を使用する患者や、感受性の高い人(妊婦や70歳以上の人など)は使用を避けるべきだといわれていた。
また、紅麹サプリメントについては、今回の問題が起こる前から、カビ毒の汚染があること、使用した人の健康被害との関連が複数報告されており、世界中で注意喚起や警告が出されていた。リスクの高いサプリメントとして有名だったのだ。
健康食品は健康な人が使うもの
そもそも、健康食品は病気の人が使うことを想定していない。そのため、持病のある人が使用した場合の安全性や、他の医薬品との相互作用などは基本的に考えられていないのである。
しかし実際には、他の薬を使用していたり、肝機能や腎機能に何らかの問題がある人が健康食品を使っていたりすることがよくある。実際、小林製薬の紅麹製品で健康被害を被った人の中には、持病があった人も含まれている。
小林製薬は紅麹製品に「医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください」と記載していたので健常者が使用することを想定していたようだが、この表示だけでは伝わらないだろう。
また、多くのメディアで商品をコマーシャルしていたのだから、その中で持病のある人は決して使わないようにといった注意喚起が、大きくなされるべきだった。日々膨大な量の健康食品の広告を目にするが、「病気治療中の人は使わないように」と警告をしているものは見たことがない。
企業の規模などだけでは製品が安全かはわからない
一般的に「製薬会社」といった場合、日本製薬工業協会加盟70社(2024年7月時点)を連想すると思う。これは、新薬を開発できる会社である。
だが、小林製薬は同協会ではなく、日本OTC医薬品協会に加盟しているようだ。