2025年5月号掲載

心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方

Original Title :Reasons Not to Worry:How to be Stoic in chaotic times (2022年刊)

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著者紹介

概要

パンデミックやSNSにおける誹謗中傷など、ストレスの種が溢れる昨今。そんな時代に穏やかな心で生きるヒントを、古代ギリシャで生まれた「ストア哲学」に求めた書。死を意識して生きる、自分にコントロールできるものを見極める…。紹介される知恵の数々は、人の悩みの本質が2000年もの間変わっていないことを教えてくれる。

要約

ストア哲学が示す知恵

 パンデミック、不平等の拡大、SNSではびこるいじめや憎悪…。今、人として生きることは、あまりに刺激が強く、目を開けることすら難しい。

 心が苛まれるようなこの時代を生き抜くための、深い知恵の言葉はどこにあるのか? 答えを探し求めてきた私は、その知恵をはるか昔のギリシャ=ローマ時代のストア哲学に見いだした。

ストア哲学の誕生

 ストア哲学が誕生したのは、紀元前3世紀の初期、古代ギリシャの都市アテナイだ。当時は、伝染病、奴隷制度、殺害による死などの試練が、生活を常に脅かしていた。どう生きるべきか、突然襲ってくる不運にどう対処するべきかを教え導いてくれるものを、人々は探し求めていた。

 ストア派の始まりは、商人だったゼノンが舟の難破により一切の財産を失ったことに端を発する。途方に暮れたゼノンが、アテナイの本屋で店主に、どこに行けば良い知恵を授けてくれるかと尋ねたところ、たまたま有名な哲学者が店先を通った。店主は「あの人についていきなさい」と言い、ゼノンは言われた通りにしてその弟子となった。

 数年間勉強した後、ゼノンは学校を立ち上げ、彼を師として慕う人々が彩色柱廊(ストア)のもとに集まった。ストアは、都市の中心部にある広場や市場の片隅にあって、人が自由に出入りできる場所だった。この場所で、彼らはストア派として知られるようになっていく。

 そしてその教えが数百年後ローマに伝わり、セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウスらによって書かれたテキストに影響を与えたのだ。

「ストイック」という言葉

 近頃、「ストイック」という言葉は、本来の意味を失って歪められていて、自分の感情を封じ込めて決して泣かない人々を指すのに使われる。

 だが、元々のストア派(ストイック)は全くそのような人々ではなかった。人生を楽しみ、他者を愛し、共同体の一員として生きていた。人生には何かを失ったり悲しみに暮れたりすることがあるとわかった上で、努めて前向きにすべて受け止めて行動した。その結果、彼らは何が起ころうとも落ち着いていて怖がることはなかった。

 

死を意識して生きる

 人生が短く、自分も他者も死ぬ定めにあると認識するのは、ストア哲学の根本原理である。

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