2016年9月号掲載
スタンフォード大学 マインドフルネス教室
Original Title :Stanford University Mindfulness Classroom
- 著者
- 出版社
- 発行日2016年7月1日
- 定価1,870円
- ページ数316ページ
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著者紹介
概要
古来、仏教修行の1つだった「マインドフルネス」は今日、ビジネス、医療、教育など、様々な分野で利用されている。集中力を高める、対人関係を改善する、生活の質を向上させる…。効果が科学的に実証され、世界的に注目される、このマインドフルネスの真髄を、日本生まれ米国育ちのスタンフォード大学の心理学者が語る。
要約
マインドフルネスの広がり
2014年2月3日発行のタイム誌は、表紙で「マインドフル・レボリューション」を宣言した。
その特集記事を読むと、健康と幸福のための秘訣として、一般大衆がいかにマインドフルネスに取りつかれているかを描き、それを一時的な流行として片づけることはできないと述べている。
それほどマインドフルネスが必要とされるのは、現代人が複数のことを同時に処理する生活を送る中で、集中できる時をなくしているからだろう。
スマートフォンに病みつきになった私たちは、通りを歩いていても電車に乗っていても、顔を下に向けてその世界に浸っている。少しでも手があけばスマホに没頭し、自分の内外で起きていることに気づかない。ただ「そこにいる」だけでは、わずかな時間を過ごすにも落ち着かないのだ。
マインドフルネスとは何か
マインドフルネスとは、瞑想習慣であるとともに、覚醒した瞑想とでもいうべき状態をいう。
マインドフルネスの提唱者であるベトナム人僧侶ティク・ナット・ハンは、マインドフルネスを「今・この瞬間」に対し気づき目覚めている力、すなわち日常生活のあらゆる瞬間において人生に深く関わる絶え間ない実践だと説明する。
マインドフルネスは、すでに暮らしの中にある幸福に気づかせてくれる力だ。それは日常生活の一瞬一瞬に存在する。息を吸う時にその呼吸を意識すれば、生きている奇跡に触れることになる。
だが、ほとんどの人が、多くの時間をその場に存在することを意識せずに過ごしている。過去や未来に捉えられている。「今・この瞬間」に存在して、人生を深く送ることができていない。
今日では、マインドフルネスは科学と大いに関係づけられており、中でも最も知られたマインドフルネスのエキスパートが生物学者のジョン・カバット・ジンだ。彼によれば、マインドフルネスとは、意識的に、今という瞬間において、価値判断を加えることなく、注意を払うことだ。
こうすることで大きな気づき、明瞭さ、その瞬間の現実への受容力が養われていく。またそれは、人生とは瞬間瞬間においてのみ展開するものだという事実に目を開かせてくれる。その場に十分に存在することなくそうした瞬間の多くを過ごせば、人生で最も貴重な何かを逃してしまう。
このマインドフルネスを考える1つの簡単な方法が、次のABCである。