
明日からはいよいよ新年度のスタートです!
新卒で入社してくる新しい仲間に期待を寄せる一方で、せっかく育ててもすぐに辞めてしまうのでは…と不安に思うリーダー層の方は多いのではないでしょうか?
毎年、厚生労働省が発表している新規学卒就職者の3年以内の離職率。2024年の発表では、高卒就職者が38.4%、大学卒就職者が34.9%でした。つまり、新社会人の3人に1人が早期離職をしていることになります(「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」/厚生労働省HP)。そんな状況の中、リーダー層にとって若手を育成することは、ますます難しく感じられるでしょう。
「終身雇用」が当たり前だった時代は終わり、今の若い人たちにとって “転職は当たり前”のようです。ちなみに“ゆとり世代”と呼ばれてきた私にとって、転職は特別なものでした。
例えば、2007年に放送されたテレビドラマ『働きマン』(原作は安野モヨコによる同名漫画)に登場する週刊誌の女性編集者は、寝食を忘れてがむしゃらに働き、心身ともにボロボロになりながらも実績を積み重ね、競合他社からヘッドハンティングをされて転職…。
そんなふうに、転職は選ばれしビジネスパーソンがするもの、というイメージでしたが、その考えもアップデートしなければなりませんね。
今、“Z世代”と呼ばれる若手層。彼らの考え方を知り、効果的に育てていくためのヒントが記された1冊を今週はPick Upします。『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか 〝ゆるい職場〟時代の人材育成の科学』(古屋星斗 著/日経BP・日本経済新聞出版 刊)です。
若手は職場がきつくても、“ゆるく”ても、辞めていく
著者は、リクルートワークス研究所の主任研究員で、次世代のキャリア形成を研究する古屋星斗氏。
古屋氏は、前著『ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由』(中央公論新社 刊)において、若手層の「職場がゆるくて辞めている」という事実を示し、その理由が働き方改革によって改善された“ゆるい職場”にあるのではないかと指摘しました。
本書では、そんな“ゆるい職場時代”に、若手を育てるための新しい方向性を示したもの。ルーティンな仕事を頼む時に必要な「ひと工夫」や「優秀な人材ほど辞める」を食い止める方法など、一歩踏み込んだ若手育成のヒントを示しています。
興味深いのは、ものわかりがよく仕事のできる“優秀な人材”ほど、働き方改革で改善されたゆるい職場環境に不満を感じ、このままだと社外で通用しないのでは、という不安や焦りをかかえているという点です。
優秀な人材の流出を防ぐためには、そうした不安や焦りを解消し、自身の今後のキャリアが今の職場でも安全な状態であると認識してもらうことが大事だといいます。古屋氏はこのことを「キャリア安全性」と呼んでいます。
今は新入社員が花見の場所取りをすることもなければ、上司から怒鳴られることも、深夜残業することも、毎週末の“飲みニケーション”もありません。明らかに、現状のリーダー層と若手層とでは“育ってきた職場環境”が異なるため、過去の育て方は通用しないのは当たり前です。
だからこそ、著者の「働き方改革に加えて、『育て方改革』も必要」だという言葉に深くうなずいてしまいます。詳しくは、ぜひTOPPOINTライブラリーの要約をご覧ください。
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』や『ゆるい職場』を読めば、若手の仕事やキャリアに対する考え方がわかり、コミュニケーションのモヤモヤがきっと晴れることでしょう。若手育成に悩みを抱えるリーダー層に、一読をおすすめします。
(編集部・福尾)
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「編集部員が選ぶ今週のPick Up本」は、日々多くのビジネス書を読み込み、その内容を要約している編集部員が、これまでに『TOPPOINT』に掲載した本の中から「いま改めてお薦めしたい本」「再読したい名著」をPick Upし、独自の視点から読みどころを紹介するコーナーです。この記事にご興味を持たれた方は、ぜひその本をご購入のうえ通読されることをお薦めします。きっと、あなたにとって“一読の価値ある本”となることでしょう。このコーナーが、読者の皆さまと良書との出合いのきっかけとなれば幸いです。
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