2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まりました。侵攻当初は早期終結を予想する声もありましたが、いまだにロシア軍とウクライナ軍との間で激しい戦闘が繰り広げられています。一日も早い終結を願うばかりです。
ウクライナ侵攻からまもなく1年になることを踏まえ、今回のPickUp本では「戦争」に関連した書籍をご紹介します。東洋と西洋を代表する軍事戦略の名著――『孫子』と『戦争論』について、それぞれの言葉を引きつつ比較し、共通点や相違点を明らかにした『米陸軍戦略大学校テキスト 孫子とクラウゼヴィッツ』(マイケル・I・ハンデル/日本経済新聞出版社)です。
著者は、クラウゼヴィッツ研究の世界的な権威で、アメリカ合衆国海軍戦略大学戦略学前教授のマイケル・I・ハンデル氏です。
1975年以降、アメリカはベトナム戦争の敗北を受けて、その真因解明に取り組みます。「米軍が局地の戦闘で勝利を重ねながら、結果的に敗北と撤退を余儀なくされたのはなぜか?」。この課題研究において「軍事古典」の分野を主導したのが、戦略研究家でもあるハンデル氏でした。本書は、その成果物ともいえます。
まずは簡単に、『孫子』と『戦争論』について紹介します。
『孫子』は、紀元前500年頃の中国春秋時代に、軍事思想家・孫武が著したとされる兵法書です。戦争における戦略・戦術を論じたこの書は、今日まで読み継がれ、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ、W杯優勝に導いたブラジル代表監督フェリペ・スコラーリなど、様々な名経営者・勝負師に愛読されています。
一方、『戦争論』は、19世紀にプロイセン(ドイツ)の軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツが著したもので、『孫子』と並び称される戦略論の名著です。英語版で600ページ以上にわたる『戦争論』は、その難解さゆえに通読するのが困難な書としても知られています。
ハンデル氏は、両書の特徴を次のように表現しています。
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