2002年7月号掲載
名将に学ぶ人間学 この「人間力」を盗んでみよ!
- 著者
- 出版社
- 発行日2001年7月10日
- 定価607円
- ページ数285ページ
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著者紹介
概要
全てが大きく変わる「乱世」の今、歴史上の乱世を生き抜いた名将たちの知恵が、ビジネスの世界にも大いなる示唆を与えてくれる。本書は豊臣秀吉、前田利家、西郷隆盛ら名将のエピソードを豊富に紹介し、そこから現代のリーダーや管理職が学ぶべき哲学や知恵を導き出す。歴史読み物としても楽しめる内容となっている。
要約
偉大な先人たちの知恵
歴史上の偉大な先人たちは、我々が現代において、仕事に生きるための「最上の知恵」を数多く遺してくれている。そうした知恵は、例えば次のようなエピソードから学ぶことができる。
管理者が忘れてはならないこと
組織における人間関係論の古典として、よく知られているのが「ホーソン・リサーチ」と呼ばれる調査だ。これは、アメリカのAT&Tの製造部門の核となるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた調査である。
同工場の工員に対し、「人間はなぜ働くのか?」という、労働に対する動機づけを調べたものだが、その結果得られた答えは、単に働く動機だけではなく、「人間はなぜ生きるのか?」という本質的な問いにもつながるものだった。
すなわち人間が働き、生きる上において、次の5つの願望・欲望があることが明らかになった。
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- ①生活の維持
- ②生活の安定
- ③集団化
- ④人格の尊重
- ⑤自己表現
このうち中間管理職にとって特に留意する必要があるのは、部下が持っている④「人格を尊重されたい」という欲望と、⑤「仕事を通じて自己を表現したい」という願望の実現である。
部下に対する人格の侮辱が破滅的な結果をもたらすことは、明智光秀の織田信長に対する反逆の例などでも明らかだ。
また、部下が「何をやったか」という結果だけを評価し、「何をやりたがっているか」という可能性に目を向けないようでは、管理者失格である。
戦国時代、信長は清洲城の塀が台風で壊れた時、普請奉行に修理を命じた。しかし、一向にはかどらないため担当を豊臣秀吉に代えた。
秀吉は修理個所を10等分し、工事人を10組に分けて競わせ、さらには「一番早くできた組には信長様から賞金が出る」とまで約束した。(秀吉は信長に、もし1日で工事を完成させれば褒美の金を出してほしい、と事前に頼んでいた)
しかし、最初の日は指示を出しただけで、秀吉は工事人たちに酒をふるまい、「仕事は明日からでいい」と言って帰ってしまった。
そこにやって来たのが、仕事を奪われた元の普請奉行である。彼は「サルの言うことは嘘だ。信長様は賞金など出すはずがない」と言った。それを聞いた工事人たちは、確かに話がうますぎると半信半疑になった。