2004年3月号掲載
ピーターの法則 創造的無能のすすめ
Original Title :The Peter Principle
著者紹介
概要
組織で働く人は、昇進を重ねていくことで、最終的に“無能レベル”に到達する ―― この組織人の宿命ともいえる「ピーターの法則」を、数々の事例を基に証明する。本書は、1970年に翻訳出版された同名書の新訳版。原著の発行から40年経つが、問題の先送りの技術だけは超一流の政治家をはじめ、無能な人々がはびこる今日、この法則、そしてそこから導かれる処世術はなおも有用だ。
要約
「ピーターの法則」とは?
組織と名のつくところには、必ずと言っていいほど、怠け者や仕事のできない人間がごろごろしている。
なぜ、無能な人間がはびこっているのか?
そうした無能な人間たちの事例を分析すると、彼らには共通点があることがわかった。
例えば、某市役所の公共事業部営繕課の現場責任者だったミニョンは、愛想が良いため周囲の評判が良く、上司も「人あたりも抜群で、文句を言わずに話をちゃんと聞く」と褒めていた。
こういう彼の振る舞いは、現場責任者としては申し分ないものだった。彼は自分で何かを決めることもないので、上司と議論する必要もなかった。
営繕課の主任が定年退職すると、ミニョンは主任に昇進した。ところが、彼は相変わらず誰にでも愛想が良く、上司からの指示を部下に伝え、部下からの報告を上司に伝えるだけだった。
主任という肩書きだが、実際はメッセンジャーにすぎない。そのため営繕課の仕事は計画通りに進まなかった。要するに、有能な現場責任者だったミニョンは、無能な主任になってしまったのだ。
彼は有能さを発揮できていた地位から、無能ぶりを露呈することになる地位へと昇進させられたわけだが、この事態は遅かれ早かれ、あらゆる人に起こり得る。
これが「ピーターの法則」であり、まとめると次のようになる。
「階層社会では、全ての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する」
階層社会とは、身分や等級、階級に従って構成員の配置が決まる組織のことである。