2005年9月号掲載
なぜ、この人に部下は従うのか 「人を動かす」心理法則48
著者紹介
概要
社会心理学者の著者が、ピグマリオン効果、ブーメラン効果といった「心理法則」を活用して、部下を思い通りに動かす方法を説く。部下のやる気を高めたい時、規律を守らない部下の勤務態度を改善したい時、失敗した部下を前向きにさせたい時、チームの士気を高めたい時…。様々なシチュエーションにおける「部下操縦法」が示された、実用的な1冊である。
要約
部下を従わせるための「心理法則」
ごく自然に、部下が従ってくる上司がいる。それはなぜか? その秘密を心理学の視点から分析すると、いくつかの法則が導ける。例えば ――
燃えない部下にやる気を出させる秘訣
どんなにハッパをかけても燃えない。指示されたことはこなすが、覇気が感じられない…。
こうしたやる気のない部下に対して、危機感、不安感をあおって動かそうとしても、効果はない。
部下のやる気を引き出し、それを持続させるには、部下が自ら変わるように仕向けるしかない。
では、部下がやる気になるのはどんな時か。
それは、上司が自分の言動や仕事ぶりをいつも注目していてくれ、しかも「きっとあいつはいい仕事をするだろう」という期待を込めて見ていてくれるという実感を部下が持った時だ。
心理学では、ある人物に対して、ある行動を期待し続けると、実際にその人物は期待に沿うような行動をとるようになるとされている。このような効果を「ピグマリオン効果」と呼ぶ。
ただし、この効果は、期待感がその人物に伝わるような働きかけをしないと起こらない。
では、上司はどんな働きかけをすればいいのか。
1つには「言葉かけ」がある。その場合、「頑張れ」「やる気を出せ」と尻をたたくのではなく、機会を見つけてほめる、評価することが大切だ。
例えば「この仕事は君に任せておけば安心だ」などと期待を込めた言葉かけを続けるのである。