2006年8月号掲載
「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人
著者紹介
概要
小誌の「読者が選ぶベストブック(06年上半期)」の第6位に選ばれた『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』。その続編である本書は、「できる人」を育てるための、具体的な実践方法を解説したもの。キーワードとなるのは、「4つの対話」である。部下の“眠れる可能性”を花開かせるためのコミュニケーション術とは ―― 。
要約
「できる人」と「伸ばす人」の違い
自身が有能であるため、何でも自分でやってしまう —— そんなできる人がリーダーだと、その組織は「できない組織」になっている場合が多い。
真のリーダーとは、「できる人」ではなく、人を活かして「伸ばす人」である。
では、ただのできる人と伸ばす人の基本的な違いとは何か?
1つは、“聞いてあげる力”を持っているかどうかの違いである。
たいていのできる人は、周囲が今一つだと思っているので、不満が募り、周囲に対して言いたいことがたくさんある。
一方、伸ばす人は、「できない人」の背景に関心を寄せる。単純に答えを与えるのではなく、相手が何を欲しているのかを十分に知ろうとする。
例えば、部下と結果に対する見解を話し合う場合、相手が今どんな状況にあり、それがこの結果とどう関連づけられるのかを理解しようとする。
そのような対話を通じて、相手は自分の今の状況をより正確に理解できるようになる。そこから、次の行動のヒントが生まれてくる。
つまり、伸ばす人が持っている相手への関心が、相手の自発性を引き出すことになるのである。
ところが、できる人の多くは、部下よりも選択肢を持っているため、先に指示や助言をしてしまう。
また、できる人の何割かは、レベルの低い対話が我慢ならないようだ。