2006年11月号掲載

マネー ロンダリング 汚れたお金がキレイになるカラクリ

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著者紹介

概要

近年、マネーロンダリング(資金洗浄)の問題が注目を集めている。IMFの推計によると、その規模は、世界のGDPの2~5%の範囲にあり、各国政府が効力のある対策を打ち出さなければ、今後さらに増えていく恐れがある。本書では、このマネーロンダリングによる巧妙な錬金術のカラクリや様々な事件、私たちの生活への影響など、その実態を詳細に解説する。

要約

北朝鮮のミサイル発射実験の裏に

 マネーロンダリング(資金洗浄)とは、「ドラッグ密売や脱税など各種の犯罪で得た非合法なマネーを、資金移動を繰り返すことによって、その出所や所有者をわからなくすること」である。

 近年、このマネーロンダリングの問題が、人々の注目を集めている。

 日本では、1980年代から暴力団などの組織犯罪がからむケースが多くなり、規模が急速に膨らむ傾向にある。IMF(国際通貨基金)は、日本におけるマネーロンダリングの規模を年間1兆円程度と推計している。

 その摘発強化に向けて、金融監督庁が2000年に専門組織「特定金融情報室」を発足させるなど、国内におけるマネーロンダリング拡大を防止するための取り組みは活発化しつつある。

 01年の米国テロ事件では、タリバンらのテロ資金が一部国内の口座にも流れ込んでいたことから、これらを凍結するなど、日本は欧米諸国と協調して不正資金の押さえ込みを図っている。

 しかし、規制が強化される中にあっても、マネーロンダリングに関する事件は頻繁に起きている。

 例えば、北朝鮮によるマネーロンダリング疑惑。

 06年7月、北朝鮮は日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。その要因の1つとして、米国が北朝鮮のマネーロンダリングに対する取り締まりを徹底したことが挙げられる。

 特に05年9月、マカオの地場銀行「バンコ・デルタ・アジア」に金融制裁を科したことが大きな打撃となったようだ。

 米国財務省によると、同行の幹部と北朝鮮当局者がつるんで、米ドルのニセ札を含む現金をバンコ・デルタ・アジアに預け入れた上で、市場に流通させるなどの違法行為をしていたという。

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