2007年12月号掲載
ファシリテーター養成講座 人と組織を動かす力が身につく!
著者紹介
概要
ファシリテーションといえば、会議を効率的に進めるスキルとして語られることが多い。だが、効果的なファシリテーションのためには、スキルとともにマインドが重要になる。本書では、ファシリテーション本来のあり方を、IQ的側面、そして「こころの知能指数」と言われるEQ的側面の両面から解説。事例も豊富で、わかりやすく、実践に役立つ1冊となっている。
要約
ファシリテーターとは何か?
GEには、小集団活動を通じて仕事の効率化を図る「ワークアウト」というものがある。
ワークをアウトする、つまりなくすという意味から名づけられたと言われるこの活動は、20年近く前に発明されたもので、当時会長だったジャック・ウェルチが強力に推進した。
ビジネスでは、やるべき仕事の量が、実際にできる量を超えているというのが日常である。
そこで、関連部署と一緒に業務の棚卸しをし、優先順位の低いものはやめていく。日本では生産現場でこうした小集団活動が行われているが、それをオフィスでも行うのがワークアウトである。
ワークアウトでは、一連の業務に関連する関係者が部署を超えて集まり、半日ほど議論して業務の効率化を行う。その流れは、次の通りだ。
「それでは、この業務についてプロセスマッピングをしましょう」と、ファシリテーターが声をかける。集まった人たちは一斉に立ち上がると、壁に模造紙を張って、ポストイットなどを使いながらあれこれとマッピングし始める。
それが終わると、ボトルネックはどこかと議論が始まり、ボトルネックが見つかると、今度は解決策をブレーンストーミングして書き出していく。
突飛なアイデアに笑いがはじけ、ますますアイデアが加速していく。やがて、それも出尽くすと実際に採用する案を絞り込む。
こうして結論が出ると、このワークアウトのスポンサー(提案の可否を判断し、必要なリソースを提供することができる責任者)を呼びにいく。
半日議論してきた現場にスポンサーを呼び出し、提案を説明し承認を求めると、鋭い質問が返ってくる。それに対して、熱く説明を加える。
スポンサーは、その場で即承認するか差し戻す。「考えておく」は許されない —— 。