2009年2月号掲載
感動をつくる ディズニーで最高のリーダーが育つ10の法則
Original Title :CREATING MAGIC
著者紹介
概要
毎年、何百万人ものお客が訪れるディズニー・ワールド。これほどの人気を博す理由は、優れたショーでも、魅力的なアトラクションでもない。素晴らしいサービスこそが、この“魔法”を作り出している。本書では、ディズニー・ワールドの上級副社長として約6万人の従業員を率いてきた著者が、職場で、家庭で、地域社会で魔法を創出するための「10の法則」を説く。
要約
変化に対応したディズニー
ディズニー・ワールドは、32のホテル、4つのテーマパークを擁する世界最大の観光地である。
1980年代、ディズニー・ワールドの業績は好調を保ち続け、82年の大ベストセラー『エクセレント・カンパニー』で賞賛されてから、ディズニーの評判は大きく高まった。
だが、90年代初期に状況が変わり始めた。競合他社に追い上げられ、ディズニーの経営スタイルにも、時代遅れに思われるものが出てきたのだ。
独裁的、トップダウン型のリーダーシップは変わりつつある社会には受け入れられない、次世代の従業員はより民主的で参加型の職場を望むだろうと、人事の専門家は考え始めた。
当時の経営陣もそれを感じていた。社会の変化に対応し、市場での優位性を保とうとするなら、企業文化を変えねばならないと気づいたのだ。
好業績を維持するには、何度も来たい、と思うような素晴らしい経験を提供するのがカギとなる。
調査した結果、ディズニー・ワールドでの経験に満足して帰ったゲスト(お客)のリピート率が高いこと、また、満足度はキャスト(従業員)と好ましい交流があった場合は特に高いことがはっきりと示された。
では、好ましい交流を作り出すカギは何か?
それは、優れたリーダーシップである。つまり、ゲストの満足度が高い部門のリーダーは、部下の話をよく聞く、部下をよく指導する、部下の努力を認める、部下に決定権を与えるといった点で評価が高いことが、調査の結果わかったのだ。
これは、優れたリーダーを育てることが何よりも大切だということである。
ディズニーは経営改革に着手し、新しいリーダーシップ哲学をまとめた。それは、「グレート・リーダーシップ・ストラテジー」(最高のリーダーが育つ法則)と呼ばれ、ディズニーで働く7000人のリーダーを支える原則になった。