2009年6月号掲載
部下の心をつかむセルフ・コーチング 自ら省みることなくして、人は育たず
Original Title :Alpha Male Syndrome
著者紹介
概要
人の先頭に立つパワフルな人物のことを「アルファ」という。著者によれば、経営者の7割以上、中間管理職の半数以上がこれに該当する。このアルファ男の問題点は、時にその資質が悪い方に出ることだ。例えば、親分肌で尊敬される一方、敵を作りがちというように。そんな悪い面を自己改革するための方法を、エグゼクティブ・コーチングの専門家が伝授する。
要約
「アルファ」とは何か?
人類の歴史は「アルファ」の歴史である。
アルファ(α)はギリシャ文字の先頭で、英語のAに相当する。意味もずばり「先頭、一番」だ。
動物行動学では、アルファは群れのボスを意味する。これが人間の世界にも流用され、リーダーとしての資質を備えている人を指すようになった。
兵士の先頭に立つ、新製品を開発する、巨大企業を率いる…。アルファは、何事にも不屈の闘志で臨み、難題に積極的に取り組む。
ビジネスの世界には、このアルファの男がごろごろいる。経営者の7割以上がアルファだろう。
アルファには優れた資質が数多く備わっているが、長所が裏返しの短所になることも少なくない。
「良いアルファ男」と「悪いアルファ男」の違いは、人間関係にはっきりと表れる。
例えば、アルファ男の典型であるマイケル・デルとマイケル・アイズナーを比べてみると ――
1984年、19歳の大学生だったデルは会社を興して、いつかIBMを超えてみせると母親に語った。
同じ年、パラマウント映画のCEOとして大ヒットを連発していたアイズナーは、ディズニーの会長兼CEOに指名される。そして、業績悪化に悩んでいたディズニーを瞬く間に蘇らせた。
時は流れ、2005年。デルは『フォーチュン』が選ぶ「米国で最も称賛される企業」に選ばれる。