2009年8月号掲載
イノベーションの新時代
Original Title :The New Age of Innovation
- 著者
- 出版社
- 発行日2009年6月10日
- 定価2,200円
- ページ数356ページ
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著者紹介
概要
2007年、英タイムズ紙が選ぶ「世界で最も影響力のあるビジネス思想家」の第1位に輝き、また、名著『コア・コンピタンス経営』の著者としても知られるプラハラード教授の注目作。本書では、21世紀の消費者を満足させる企業になるにはどうすべきか、その変革の方法を説く。要となるのは、商品ではなく「経験」の提供、そして地球規模での企業間連携だ。
要約
大潮流を支える2つの柱
今、ビジネスの世界は根本から揺れ動いている。
デジタル化や通信環境の整備、グローバリゼーションなどを呼び水としたこの変化を受け、企業のあり方そのもの、ひいては企業による価値創造のあり方も激変するだろう。
企業が生き残り、成長していくには、このトレンドになじむことが欠かせない。
あらゆる業界を飲み込むであろうこのトレンドは、次の2つの大きな柱に支えられている。
①個客経験の共創
消費者にとっての価値は、自分だけのかけがえのない経験から生まれる。企業は、たとえ1億人の消費者を対象にしていても、瞬間瞬間には、1人の顧客とその消費経験に注意を集中しないといけない。特定の個人を主役に据えるべきである。
これが第1の柱で、「個客経験の共創」と呼ぶ。
②グローバル資源の利用
幅広く事業を展開する企業といえども、単独では、各顧客にその都度満足のいく経験を届けるだけの力を持たない。どの企業も皆、様々な他社の力を借りることになる。つまり、グローバル規模での企業間の提携関係に頼ることになる。これが第2の柱で、「グローバル資源の利用」と呼ぶ。
では、これらによって、具体的にどんな変容が起こるのか?
例えば、トラック用タイヤの製造という伝統的な業界では、主に製品の価格、耐久性、ブランド認知度などを軸にした競争が展開している。
だが、上記2つの要因から、タイヤを売る代わりに、使用料を得るビジネスモデルが考えられる。トラックの持ち主と契約して、走行距離に応じた使用料を受け取るのだ。
この契約では、荷重(重いか軽いか)、走行ルート(市内中心か長距離かなど)の他、各トラック所有者の事情を考慮して使用料を決める。