2009年11月号掲載

カオティクス 波乱の時代のマーケティングと経営

Original Title :CHAOTICS:The Business of Managing and Marketing in the Age of Turbulence

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著者紹介

概要

9.11テロ、世界金融危機、巨大台風や地震…。最近、これまでの状況が突然変わってしまうような出来事が多い。いわば「乱気流の時代」と呼べる今日、経済についても、好況と不況を規則的に繰り返す従来の経済は終わった。企業が生き抜くには、リスク(予測可能)と不確実性(予測不能)への備えが不可欠だ。そのための新たなフレームワークを、本書は提言する。

要約

「ニューノーマル」の時代

 企業は、市場で予測される変化に対応するため、ある種の見解を持っている。

 それは簡単に言えば、好景気で高度成長と持続的繁栄が見込めるか、あるいは不景気で需要が落ち込み、不況の可能性があるかのどちらかである。

 しかし、もはやこうした2種類の見方で市況を捉えることはできない。状況は突然、次から次へと変わる。ある時には9.11のようなテロが発生し、またある時には、サブプライムローン問題が世界金融危機を引き起こすこともあるのだ。

 2008年11月、NIC(米国国家情報会議)が、「Global Trends 2025:A Transformed World」という報告書を発表した。

 この報告書によると、向こう10年間で世界中に「乱気流」が増えることが予測される。

 乱気流とは例えば、新興市場国における政治指導部の急激な交代、大幅な政策変更、武力衝突の増加、地方や国の予算削減とそれによる企業への波及効果といったものだ。

 インドでの08年11月のテロもその一例である。イスラム過激派がムンバイで起こしたこの同時多発テロでは、高級ホテル、鉄道駅、病院などが襲撃され、174人が死亡、200人以上が負傷した。

 インドはこのテロが起こるまで、長年の景気低迷から抜け出して経済成長を続けていた。だが、このテロによって以前の経済状態に逆戻りしてしまうかもしれない。なぜなら、外国企業は自社の人も金も危険にさらしたくはないからだ。

 過去50年間、景気の動きはある程度、予測できた。景気上昇期は歴史的に見て平均5~7年続き、次の景気後退期は平均10カ月続いた。

 ところが今の経済は、上昇と下降という景気循環の通常期を超えたものである。マクロ・ミクロの両面で、あらゆるリスクと不確実性の度合いが高まっている。

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