2010年2月号掲載
マーケティング・プレイブック 競争優位を獲得・維持をするための5つの戦略
Original Title :THE MARKETING PLAYBOOK:Five Battle-Tested Plays for Capturing and Keeping the Lead in Any Market
著者紹介
概要
マーケティング戦略は大きく分類すれば、5種類しかない。企業はその中から適切な戦略を選ぶ必要がある ―― 。こう語る著者陣は、かつてマイクロソフト社のマーケティングを担当し、ウィンドウズなどが世界的シェアを獲得するのに貢献した。そんな自らの経験なども織り交ぜながら、競争優位を獲得・維持するための5つの戦略の内容、および選び方を解説する。
要約
5つのマーケティング戦略
業種や規模に関係なく、どの企業も、5種類しかないマーケティング戦略(プレイ)のうちの1つに従っている ―― 。
冗談ではなく、企業はたった5つしかない戦略の1つに、市場での地位獲得を賭けている。
この5つの戦略とは、次のようなものである。
①ドラッグレース・プレイ
「ドラッグレース・プレイ」は、5つのプレイ、すなわち戦略の中で最も単純だ。競争相手を1人選び出し、孤立させ、直接比較して倒すというものである。
その好例がある。
1980年代後半、マイクロソフトは、ワープロソフト市場で「ワード」の名を上げるため、働きかけを行っていた。
だが、市場はなかなかワードの長所をわかってくれなかった。
当時普及していたワープロソフト「ワードパーフェクト」の愛好者たちの興味を引き付けることができなかったのだ。
そこで、コンピュータ見本市コムデックスに出展した際、ワードパーフェクトとの決闘に打って出た。観衆の前で、「ワードでワードパーフェクトが打倒できる」と公言したのだ。
これが観衆の興味を引いた。決闘を入り口にして、自動修正機能や作表機能のデモを実施したところ、製品を試しに使いたいとの声が起こった。
マイクロソフトは、この成功を全国キャンペーンに拡大し、20都市で直接対決デモを敢行。こうして、ワードはドラッグレースに勝ち、ワープロ市場のリーダーとなった ―― 。