2011年8月号掲載
営業マンは理系思考で売りなさい
著者紹介
概要
口ベタ、人見知りで、客と気楽に話せない。大学の工学部を出て営業の世界に入った著者は、典型的なダメ営業マンだった。だがある時、発想を転換。ノリに頼らない、理系ならではの分析力を活かした営業活動に切り替えたところ、社内で4年連続No.1営業マンに。そんな著者が、訪問せずに客をフォローできる“営業レター”等々、「理系思考」の営業術を説く。
要約
「理系思考の営業」とは?
営業の現場では、体育会系で明るく元気なタイプの人が活躍している。私が入社した住宅メーカーもそうだった。
そうした人たちは、センスと勢いで契約を取ってきたりする。しかし、私には難しかった。
私は大学時代、工学部でセラミックの研究をしていた。そこでは、1日中誰とも話さないこともあった。営業職にはコミュニケーション能力が不可欠と言われているが、私はコミュニケーションから、かけ離れた世界にいたのだ。
口ベタな私は入社後7年間、ダメ営業マンだった。だが、あるきっかけから理系の思考回路で科学的に営業を捉えるようになる。その結果、営業マンとして4年連続でトップを取るまでになった。
訪問恐怖症を克服させてくれた「営業レター」
私は自分の家を建てる時、「絶対に失敗したくない」という思いで、会社にあった「入居客の失敗例、クレーム例」を見ながら設計した。
これが家を建てる上で、非常に役立った。その時にフッと、「この情報は家を建てる前の人は知りたいだろうな」と思いついたのである。
そして早速、このクレーム例を「お役立ち情報」として編集し、見込み客90件に郵送した。すると、3件「相談したい」との反応があり、3件とも極めてスムーズに契約が成立したのである。
こうしたお役立ち情報をはじめ、お客様へ送る資料のことを「営業レター」と私は呼んでいる。
理系の私には、営業レターは非常にマッチした。今まで苦手だった訪問を一切やめ、営業レターにのめり込んだ。次々とお役立ち情報の新しいバージョンや手紙などを作り、送る順番、頻度、内容などを変えては試す、ということを繰り返した。
その結果、お客様から定期的に声がかかるようになり、商談していただけるお客様が増えた。
文系思考が行き詰まる理由
営業マンには様々なタイプの人がいる。全ての人を文系思考、理系思考の2つに分けられるとは思わないが、一般的に文系の人は、論理的な分析が苦手な傾向にあると言われている。