2011年8月号掲載
日本一の「実行力」部隊 ユニクロで学んだ「巻き込み」仕事術
著者紹介
概要
女性マネジャーとしてユニクロに中途入社した著者は、ゼロからプロジェクトを立ち上げ、「ヒートテック」等のヒット商品を生み出す土壌を作った。そこで力を発揮したのが、周りの人の強みを活かし、チームで成果を出す「巻き込み仕事術」だ。本書では、著者が実践してきたこの手法を詳しく解説。部署の壁を越え、人を巻き込むためのノウハウの数々を披露する。
要約
100%の実行力は「巻き込み」から生まれる
2006年に、ユニクロが劇的なV字回復を成し遂げた時は、柳井正さんの経営に注目が集まった。
だが、社員の働き方や実際に現場で行われているマネジメントの方法には、スポットが当てられていない。
長引く不景気でもぶれないユニクロの経営を陰で支えているのは、1人1人の社員の徹底した「実行力」だ。ユニクロでは「検討します」などは許されない。個々の社員がいかに問題を見つけ、解決するかという実行力が何よりも問われる。
「巻き込み」というユニクロのDNA
ユニクロには実行力を加速する様々な“DNA”が存在する。その中で私にとって最も成果につながったのは、「巻き込み」という発想だった。
柳井さんは、次のフレーズを頻繁に口にした。
「チームで仕事をしてください」「自分の部署だけの問題ではありません」
これは、1つの大きな成果を出すためには、全部署が連動して互いを巻き込みながら、全精力を注いで実行していく、ということである。
社内の垣根を越えてプロジェクト単位で人が集まり、横断的に仕事をするのである。
私はこのユニクロのDNAをヒントに、周りの人の強みを活かし、味方にしてチームで成果を出していく「巻き込み仕事術」を考えた。
そしてこの方法で、ヒートテックやブラトップといった大ヒット商品が生まれる土壌となった「ダイバーシティ・プロジェクト」を立ち上げた。
ダイバーシティとは多様性のことだが、それまでのユニクロは男性中心の会社で、決定権を持つ責任者はほぼ男性ばかり。女性のニーズが商品開発に活かされているとはいえない状況だった。