2011年11月号掲載
ファイナル・クラッシュ 世界経済は大破局に向かっている!
著者紹介
概要
2007年、『THE FINAL CRASH』という本が出版された。著者は、あるプライベートバンクのファンドマネジャーを務める英国人男性。一部の金融関係者に向けて書かれた将来予測の書だが、リーマン・ショックなど、指摘の数々が現実のものとなり話題を呼んだ。その主な内容を、同書の著者と親交のある国際弁護士・石角完爾氏が、日本人にわかりやすく紹介する。
要約
ファイナル・クラッシュとは?
リーマン・ショックの勃発以来、世界中のユダヤ人や金融関係者の間で評判を巻き起こした、『THE FINAL CRASH』という本がある。
著者はヒューゴ・ブーロー。ただしこれはペンネームで、本名はトビー・バーチ。あるプライベートバンクのファンドマネジャーを務める人物だ。
2007年春、自費出版の形で刊行された同書は、ごく一部の金融関係者に配られたにすぎない。
ではなぜ、そのような本が、出版から数年後に大反響を呼んだのか。
それは、リーマン・ショックや2010年初めのギリシャ国債の格下げに始まるEUのソブリン危機、11年8月に発生した米国債のデフォルト(債務不履行)危機などを予言していたからだ。
そして、1930年代の世界大恐慌をはるかにしのぐ、経済大破局の到来まで予言しているのだ。
以下、その主な内容を紹介すると ――
米国の住宅バブルの発生
2001年の9・11同時多発テロによる消費の減退を避けるため、米国では緩和的な金融政策と減税が実施された。その結果、金利が下がり、借金をして消費することが容易になった。
この金融緩和によって、米国の住宅市場はバブルに入ってしまった。米国の一般家庭の住宅ローン返済額は今や、収入の23%にまで達している。
過剰な米国債の発行
米国政府は、すでに莫大な金額の米国債を発行しており、税収不足と米国民の貯蓄率のマイナス化から考えても、財政はもはや手のつけられないところに来ている。
ここで問題は、08年以降、ベビーブーマー世代がリタイアを始めるという事実だ。米国では今後30年間で65歳以上の人口が倍になり、65歳以下の人間は15%しか増えない。