2012年11月号掲載
新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?
著者紹介
概要
新幹線の車両清掃を行う鉄道整備株式会社、通称「テッセイ」が、今注目を集めている。手際よく清掃する、プロの技だけではない。礼儀正しさや乗客への気配り、四季を感じられるよう夏は浴衣姿で接客するなど、数々の心遣いが乗客を感動させている。「お掃除の天使たち」。こう呼ばれる、輝きに満ちたスタッフはいかにして誕生したか、本書はその取り組みを追う。
要約
最強のチーム、「テッセイ」
新幹線の車両清掃をしている会社が、数多くのツイッターで盛んにつぶやかれている。
「清掃員の早技スゴすぎ!」
「新幹線に乗るたびに思うけど、丁寧に車両内を清掃してテキパキと働く人たち。他の国ではここまでやらないよね」
「新幹線が遅れてみんながイライラしてる中、駅のスタッフさんが子どもにシールを配ってまわってる。こーゆーの大事だよね」
この会社の名前は、鉄道整備株式会社。通称テッセイ。JR東日本のグループ会社だ。
同社の仕事は、車両や駅内の掃除である。地味で目立つことのない仕事だ。そうした会社がツイッターだけでなく、『日経ビジネス』では「最強のチーム」として紹介され、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げられた。
清掃会社が、なぜこれほど話題を集めるのか?
「お掃除の天使たち」が働く会社
この会社で働く人たちは、「お掃除の天使たち」と呼ばれる。
お掃除の天使たちが1日に清掃する車両数は約1300両。1チームの基本編成は22名で、各チームは、多い時には1日約20本の車両清掃を行う。
早出、遅出はあるし、相当ハードに身体を動かす仕事。東京駅の東北・上越新幹線などの折り返し時間はわずか12分。降車に2分、乗車に3分かかるので、清掃にさける時間は7分しかない。
その間に、車両清掃、トイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換などを完璧に終える。それが、テッセイの車両清掃チームの任務である。