間もなく迎えるお盆休み。新型コロナウイルスの感染も落ち着き、帰省や旅行を計画している方は多いのではないでしょうか。ある報道によれば、今年のGWに新幹線などを利用した人は1000万人を超え、コロナ前の約9割まで回復したそうです。GW同様、このお盆休みにも多くの人の移動が見込まれています。
今回のPick Up本では、お盆に多くの方が利用する新幹線に関するビジネス書、『新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?』(遠藤 功/あさ出版)をご紹介します。
著者の遠藤功氏は、これまでに数多くの現場を訪ね、企業の取り組みを観察してきたコンサルタントで、欧州系最大の戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガー日本法人の元会長です。主な著書に『現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件』『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える 「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋』などがあります。
そんな遠藤氏が、新幹線の車両清掃を行う鉄道整備株式会社(現在、株式会社JR東日本テクノハートTESSEI)、通称「テッセイ」の成功の軌跡から、「現場力」を高める方法を探ったのが本書です。ちなみに『現場力を鍛える』によると、現場力とは「現場が自ら問題を発見し、解決する能力」のことをいいます。
新幹線の車両や駅構内を清掃するという、地味で目立たない仕事ながら、テッセイはこれまでにテレビ番組の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」をはじめ、多くのメディアで紹介されてきました。また、ハーバードビジネススクールの授業で取り上げられ絶賛された他、海外メディアでも大きく報道されています。
清掃現場で頑張る人たちの礼儀正しさや乗客への気配り、数々の心遣いが乗客を感動させていることから、清掃スタッフの方々は「お掃除の天使たち」とも呼ばれており、それが本書のタイトルにもなっています。
『新幹線お掃除の天使たち』では、テッセイの日常の現場で起きていること、そしてこれほど注目されるテッセイという会社がどのように誕生したのか、2部構成でわかりやすく解説しています。
遠藤氏によれば、テッセイの経営陣は普通の清掃会社から「トータルサービスの会社」になるべく、様々な仕掛けを考え、実行に移してきたそうです。その仕掛けとは、例えば、次のようなものです。
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