2012年12月号掲載
ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている
Original Title :EVERYTHING YOU KNOW ABOUT BUSINESS IS WRONG
- 著者
- 出版社
- 発行日2012年10月13日
- 定価1,870円
- ページ数295ページ
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著者紹介
概要
製造コストに基づく価格設定、効率に注目した業績評価、金銭的報奨による動機づけ…。ビジネスの世界には、常識と見なされている前提がいくつもある。だが、その多くは間違いだと著者は指摘。価格設定や業績評価、動機づけなど、様々な領域に目を向けて、間違った定説から生じる失敗を明らかにするとともに、変化の時代に即した新しい思考法を伝授する。
要約
価格設定
ビジネスの世界では、常識とみなされている前提がある。だが、それらは正しいとは限らない。
例えば、「価格設定」について見てみると ――
価格は製造コストに基づいて決めるべきか?
「価格は製造コストに基づいて決定するべき」「高品質のものには高い価格をつける必要がある」とされる。だが、そんなことはない。
IBMは以前、法人向けレーザープリンターを売っていた。価格は1000ドルで、1分に10ページ印刷できる。その後、同社は小規模オフィス・自宅オフィス(SOHO)市場向けの製品を発表した。価格は500ドル、1分に5ページを印刷できた。
2つの機種の唯一の違いは、印刷速度の遅い機種のソフトウェアに、印刷を待つように命令するコマンドが加えられていたことだ。
普通に考えれば経済の常識に反しているように思えるが、価格づけの論理に照らし合わせてみれば、素晴らしい戦略である。
ひとたびプリンターの製造ラインを確立すれば、同じプリンターを非常に安く生産できる。
法人市場で1000ドルの価格を維持できれば、同じ機種をSOHO市場では500ドルで売っても利益を上げることができるだろう。
だからといって、同じ機種を市場ごとに異なる価格で提供することはできない。ほどなく、法人顧客が安値の存在に気づくだろう。そうすれば、全てを500ドルで売らなければならなくなる。
この難題を解決し、2つの価格を両立させる方法として、IBMが考え出した答えは、性能の少し劣る機種を開発することだった。
価格設定には奇妙なねじれ現象があり、品質を下げることに資金を投入しても意味をなすのだ。