2013年1月号掲載

丁寧を武器にする なぜ小山ロールは1日1600本売れるのか?

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  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2012年11月10日
  • 定価
    1,650円
  • ページ数
    252ページ

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著者紹介

概要

2011年、世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で、初出展で最高位を獲得したパティシエ エス コヤマ。その店は、交通の便が悪い、兵庫県三田にある。しかも支店を一切出さず、鮮度が命の生ケーキはネット販売をしない。そんなやり方を貫く、小山進氏が仕事哲学を語った。ものが溢れる時代のものづくり、経営のあり方を考えさせられる1冊だ。

要約

「丁寧」という力を武器にしよう

 パティシエ エス コヤマは、開店して9年になるケーキ屋だ。最初は1店舗で始めたが、今は約1500坪の敷地内に6つの店が点在し、ギフトサロンやお菓子教室なども備えている。

 僕は、ケーキ屋は普通の企業と根本的には変わらないと考えている。スタッフの指導は不可欠だし、商品を生み出し、コストも計算しなければならない。おそらく、普通の企業に勤めるビジネスパーソンと同じことで悩み、苦労しているだろう。

 どんなジャンルの仕事であっても、「丁寧な力」こそ仕事の基礎力になる。さらに、それは海外で通用する武器にもなる。僕は海外で修業した経験はないが、丁寧な力が認められて、2011年、海外のコンクールで最高評価をいただいた。

 僕は、その時その時、目の前にあることをただ一生懸命に取り組んできた。それはケーキに限らず、ケーキのパッケージ、リーフレット、店のレイアウトや庭の作り方、お客様への応対やスタッフの育成など、全てのことに対してである。今考えると、それが丁寧な力であるかもしれない。

なぜ、小山ロールは1日1600本売れるのか?

 エスコヤマでは、毎朝お客様が早い時間から開店を待ってくださっている。お客様の一番のお目当ては「小山ロール」だ。これは店の目玉商品で、1本1260円のロールケーキである。今までの最高で1日1600本も作らせていただいた。

 普通は原価をかけたら、商品の値段を高く設定するだろう。だが、僕は店にとってのコストパフォーマンスより、お客様にとってのコストパフォーマンスを優先したい。お客様に喜んでいただくには、最上の材料を使って、お客様にとっての適正価格で提供するしか考えられない。

 そこで妥協しなかったから、ファンは加速度的に増えて、1600本になったのだと思う。

 ロールケーキを看板商品にしようと決めたのは、エスコヤマを唯一無二の店にしたかったからだ。

 その頃、僕の頭の中にあふれたキーワードは「水や空気のように、人の好みを超えたものを作りたい」「普通じゃダメ、とびきりでないと」といった言葉だった。

 全ての世代に受け入れられるような、普遍的なロールケーキを作りたい。そのために、どのようなロールケーキにすればいいのか。

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