2013年8月号掲載
秘密の成功哲学 厚黒学
著者紹介
概要
『厚黒学』とは、清朝末期に著された、英雄になるための研究書のこと。「面の皮の厚さと腹黒さが激動の時代を生き抜いていく秘訣」と説くこの書を中心に、実践編にあたる『厚黒伝習録』など関連書籍を、中国文学者の守屋洋氏が翻訳、解説した。今なお中国で読み継がれる“裏の帝王学”を繙けば、中国人のしたたかな駆け引き、振る舞いの秘密が見えてくる!
要約
中国の裏古典、『厚黒学』
『厚黒学』という本は、日本人にはあまりなじみがないかもしれない。一体どんな本なのか。
「厚」とは、恥を恥とも思わない面の皮の厚さ、「黒」とは、権謀術数に長けた腹黒さという意味である。
この2つが激動の時代を生き抜いていく秘訣なのだとみなし、そのことを『三国志』の曹操や劉備、さらには項羽や劉邦など、歴史上の人物を引き合いに出して論証しているのである。
近年、中国ではこの本が相次いで出版され、人々の関心を集めているという。書かれている内容が彼らの共感を呼んでいるのである。
著者は李宗吾(1879~1943)。四川省で官吏になり、省の督学(教育長)などを歴任したといわれる人だ。
彼は、この本で、次のようなことを述べている。
* * *
私は本を読めるようになってから、英雄豪傑になりたいと思い、その手がかりを「四書五経」に求めてみたが、一向に要領を得なかった。
そこで諸子百家の書や「二十四史」を繙いてみたが、これまた何も得る所がなかった。
それでもなお諦めきれず、手がかりを求め続けた。そして数年、ある日たまたま『三国志』の人物たちを思い出し、忽然として悟った。
「そうか、わかったぞ。昔の英雄豪傑は、ただ面の皮が厚く、腹黒いだけではないか」