2014年11月号掲載
L70を狙え! 70歳以上の女性が消費の主役になる
著者紹介
概要
「L70」とは、70歳以上の女性のこと。2050年まで70歳以上の人口は大幅に増え、将来、L70は消費の主役になるというのが、エコノミストの著者の予測だ。本書では、彼女たちの実態を、『家計調査』などのデータを基に徹底分析。「一番高い肉を買っているのは70歳以上世帯」「機能より感情的な満足に対して高い価格を支払う」等々、L70の消費行動が明かされる。
要約
なぜ「L70」なのか?
これからのビジネスで成功したいなら、他のどの消費者層よりも知っておくべき相手が、70歳以上の女性である。
本書では、このグループの人たちを「L70」と呼ぶ。「L」はレディのLである。
2050年まで大幅に増えるL70人口
L70は、これから数十年の間に、日本経済の消費活動の中心になる。
人口減少はすでに始まっているが、これが加速し、日本の総人口は急速に減ることが確実だ。
だが、他の年齢層は人口が減っても、70歳以上の日本人はそう簡単に減らない。むしろ、あと10年は高い伸び率で増える。
その後、増減はあるが、傾向として2050年頃まで70歳以上の人口は大幅に増える。
しかも、医療や健康管理法の進歩が想定を上回り、平均寿命が想定より高まれば、L70の人口増のペースは上がり、人口増の期間も伸びるだろう。
大部分は健康で、悩みやストレスも少ない
日本の女性が生存する確率を、2012年の『簡易生命表』(厚生労働省)を基に整理すると、3人に2人(67%)が85歳まで、ほぼ2人に1人(47%)が90歳まで、ほぼ4人に1人(23%)が95歳まで生きる。
そして、厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると、70代の8割は日常生活を送るのに支障がない健康状態である。悩みやストレスがある者の割合が一番低いのも、70代だ。
つまり、70歳になってから15~20年生きるのが普通で、8割は肉体的に健康で、心の健康状態は一番いい、といえる。
おまけに、日本の高齢者層は、概して経済的に恵まれている。他の先進国と比べて、子育て世帯にはあまりおカネを回さず、高齢者に手厚くというのが、日本政府の社会保障政策の特徴だからだ。