2015年4月号掲載
本質思考 MIT式課題設定&問題解決
著者紹介
概要
どれだけ情報を集め、よく考えても、本質が見えていないと、“スジが良い”答えは出てこない ―― 。マサチューセッツ工科大で学んだ戦略系コンサルタントが、その学びを基に、物事の本質を捉え、真の問題解決を導く「本質思考」を解説。情報が溢れる今日、問題の裏に潜む本質は見えにくい。ビジネスマンにとり、本書が説く本質思考は欠かせないといえよう。
要約
「本質から考える」とは?
ただ「考える」のではなく、「本質から考える」 ―― 。これは、極めて重要なことである。
例えば企業の業績が悪く、大幅なコスト削減を強いられていたとする。そんな時、よく「コスト一律30%カット」といった打ち手が講じられる。
確かに、シンプルでわかりやすい。すぐ結果が出るだろう。だが、この打ち手はスジが良いのだろうか。
一見、理にかなっているように見えるが、少し見方を変え、「今」という視点から「将来」という視点に立場を変えると、疑問が湧く。
確かに、今コストが下がることは良いことだ。しかし同時に、一律30%カットは、将来の競争に必要な何か(例えば研究開発力や営業力)を毀損してしまうことにもなりかねない。
なぜ、こうしたスジの悪い答えが出てくるのか。それは表層的な現象のみを見て考えてしまうからで、「どうしてそうなったのか」という本質的なところを考えていないからだ。
今日、目先の情報に囚われることなく、本質から考えること ――「本質思考」がとても大切だ。
「モデル」と「ダイナミズム」で本質を捉える
では、「本質」とは何か? これは、なかなかに難しい問題だ。手元の電子辞書にはこうある。
「物事の本来の性質や姿。それなしには、その物が存在し得ない性質・要素」
本質とは、非常に大切なもののようだ。ただ、これだけだと漠然としていて、今ひとつピンとこない。この問いに対して私が手触り感を持って理解できたのは、マサチューセッツ工科大学で「システムダイナミクス」と出会った時だった。
システムダイナミクスでは、物事の本質を、現象の裏側に潜む「構造(モデル)」と「因果(ダイナミズム)」として捉えていた。